函館支庁は明治10年12月支庁第45号広告で「函館町会所蓄積金穀ノ員数、従来精密ノ調査無之ニ付、今般官民ノ内ヨリ委員ヲ命ジ調査セシメ候処現在ノ金穀左ノ通ニ候」と、町会所蓄積金調査結果を広告した。この広告の金額は明治11年の出納表を広告する際(明治12年2月)に訂正されているので、その訂正表と明治11年の出納表(表2-41、42)を次に掲げておく。この表中の米は、前述した明治3年購入の予備米の残りで、11年6月にすべて売却され、代金4270円余は同年11月に区戸長の嘆願により人民共有金に組入れられた。また、この町会所蓄積金調査完了祝賀会が11年1月5日に上大工町の協同館で開かれ、函館新聞の創刊号には次のコメント付で祝賀会の模様が載せられている。
平民が官員と一座の宴会を開いたなどといふは当港では是が初りでありますが、こういふ事があるようならば追々上下の情実も通る様になり至極よいこととおもわれます。 (明治十一年一月七日「函新」) |
明治11年4月、町会所蓄積金の経理問題を処理した功により、常野与兵衛が函館3大区の区長に任命された。この時点での各大区の副戸長(戸長は各大区とも欠員)は次のとおりで、蓄積金調査委員からの起用が目立っている。
十四大区副戸長 大橋宇左衛門、榊吉右衛門、枚田要蔵
十五大区副戸長 伊藤重兵衛、興村忠兵衛、渋田利右衛門
十六大区副戸長 安浪次郎吉、杉野源次郎、山崎清吉
この町会所の人事刷新と同時に、次の2点を改正して、町会所経理の公正を期した。
1、副戸長山崎清吉を町会所出納取扱に任じ、経理担当を専務制とする。
1、町会所の経理精算書を年2回(7月と12月)一般市民に公開縦覧すること。
種別 | 広告高 | 修正高 | 増減 |
蓄積米 現在金 貸金 繰替 合計 | 485.9345石 1,415.713円 10.240.060円 2,787.613円 米 485.9345石 金 14,443.386円 | 485.9345石 1,415.713円 10,054.429円 2,742.863円 米 485.9345石 金 14,213.005円 | 0 0 △185.631円 △44.750円 △230.381円 |
受之部 | 払之部 | ||
種別 | 金額 | 種別 | 金額 |
明治10年12月より繰越高 改革之際調洩有銭 払下物品 積穀払下 共有地貸地料 共有地貸家賃 地所建物払下 貸金預ヶ金利子 雑受 合計 | 14,213.005 103.500 601.580 387.904 1,112.206 103.500 601.580 387.904 38.264 18,203.771 | 改革前預り金 学資金 共有地に係る諸費 共有地南新町下水修繕 青柳町地所買受 仲浜町地費及建家営繕費 雑払 合計 | 569.066 379.171 85.514 222.457 76.195 2,660.197 50.530 4,013.130 |
差引残金 内訳 貸金繰替及区入費追算 貸付会所預ヶ金 現金 | 14,160.041 6,607.567 5,000.000 2,553.567 |