書籍館の建設

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 函館区で前記の書籍庫建築の計画予算を検討したところ、書籍庫に縦覧室の設備を整えるには500円の不足を生じることが判明した。そこで、金子利吉、林字三郎、平田兵五郎、渡辺熊四郎が函館区共有書籍庫建築委員に任命されて広く寄付金を集めることになり、早速次々と寄付金が寄せられるようになった。明治20年11月の通常区会において、建築中の書庫を「函館書籍館」と称することを表明し、翌21年度の収支予算案を審議した。それによると、図書費、新聞雑誌費、人件費、消耗費、修繕費などで290円12銭の支出を見込み、収入の方は閲覧券料で28円の他、不足分262円22銭は区費から充当することで可決承認された。いよいよ12月には建築が竣工し、翌21年6月6日、これまでの思齊会文庫と公立弥生・宝両小学校所有の教科書、参考書を除いた蔵書と合わせて3000冊ほどを有する区営の函館書籍館として一般に公開されることになったのである。なお、前年に制定されていた「函館書籍館規則」によれば、開館は9時から5時までとし、入館料(閲覧券料)は5厘、閉館日は月曜日、大祭日、祝日、8月16日から30日までと12月20日から1月5日までであった。また、函館書籍館の事務取扱人としては隣接地にある町会所の取締でもあった常野正義が任命された(「書籍館関係書類」)。