箱館奉行は植樹ばかりでなく、森林の保護政策も行っており、次のような布達を出している。
『文久元年御触書写 下』(北海道総合経済史所収)に、
一 近来村々におゐて何木によらず数多伐木、諸方より注文請、伐木候趣相聞、以の外の事に候。右ハ御用材の外、免判不二願出一分は一切不レ可二伐出一、若心得違のもの有レ之おゐては召捕吟味の上、急度申付候条、其旨相心得、小前末々まで不レ洩様可二相触一もの也。
とあり、同資料「平沢豊作日記」(元治二年)(北海道総合経済史・南鉄蔵)に、
函館近在山々ノ義、近来追々伐荒シ候ニ付、猥ニ売木等伐出シ間敷旨相触置候処、追々苗木植付方御仕法モ相立候ニ付、家財、薪炭等ニ差支不二相成一程免判申請、伐出シ不レ苦候。尤売木ノ方ハ是迄ノ役銭十倍ノ役銭相納可レ申事。右ノ通相心得、小前末々迄不レ洩様可二申聞一候。
右ノ通此度山越内村御用所より改テ被二仰出一候間此段相触候。
以上の触書からも知り得るように、箱館近在においては、百姓の生活に必要な薪や炭、それに小屋掛けなどの木材の伐採を認め、伐採によって利益を得ようとする場合には従前の十倍の役銭を納めさせ、乱伐になることを防いでいる。