函館市街地・銭亀沢の海岸段丘面

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 つぎに、各段丘面の高度と分布を説明した後、とくに日吉町面以下の海岸段丘面の高度を最新の海面変動曲線と結び付けて、各段丘の形成年代を推定してみよう。
 近年、函館市をはじめ上磯町、七飯町、大野町を含む函館都市圏全域についての二千五百分の一地形図(函館圏都市計画図)が整備され、これらの図中の二メートルあるいは一メートル間隔の等高線によって、従来には得られなかった高い精度で、地形区分が可能となった。銭亀沢の二九枚について、その等高線を抜き出し、図化したのが巻末に添付した地図である。これらの図から得られる情報と、米軍の四万分の一空中写真、国土地理院の空中写真の判読とを合わせて、地形分類図を作成した(図2・1・5)。
 この図に示されたおもな地形単位としては、函館山や段丘崖の斜面を示す山地・急斜面、横津岳山麓の火山性開析扇状地、ここで取り扱う各海岸段丘、現在はほぼ消滅した砂丘、いわゆる陸繋砂州と、そこから大野平野に向けて幅を広げる浜堤群、その間にある後背湿地、亀田川、松倉川などに沿う谷底平野、函館港内の埋め立て地などがある。
 海岸段丘については従来の呼称も用いて、赤川面、日吉町Ⅰ面、日吉町Ⅱ面、函館面の四つに区分した。以下にその分布と特徴を示そう。

図2・1・5 函館の地形分類図

 函館周辺の各種地形構成のうち、有名な陸繋砂州の範囲が狭く、階段状の海岸段丘や扇状地の占める面積が大きいことがわかる。市街地には人工的な地形改変が進んだところも多い。今では見られない大森浜と湯川の間に連なっていた砂丘は、その例である。