風の予測

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  おやくかかれば(明日は)ヤマセ        【根崎(志海苔)】
  函館山さ霧掛かればアカヤマセ            【根崎】
  三森山さボタ掛かればクダリ             【根崎】
  尻屋近見えし汐首の先見えなくなれば必ずヤマセ    【根崎】
  向山(南部山)近いとヤマセ         【志海苔(銭亀沢)】
  アカヤマセは矢越まかせ              【銭亀沢】
  夜日方ヤマセ吹くとその日のうちにヒカタ      【銭亀沢】
  アカヤマセ潮干に吹かず、潮立に吹く         【根崎】
  今バヤバヤでも月の暮れさ風吹くべ          【根崎】
   *おやく…月や太陽にかかる暈(かさ)、ボタ…山に懸かる笠雲、
    潮干・潮立…干潮・満潮、バヤバヤ…風が弱い
 
 海に依存して暮らす人々にとっては風の吹いてくる方向と強さが最大の関心事であったろうと思われる。雲の状態や太陽・月、山々の見え方などから、風を予測している。特に、低気圧の接近を告げる東風の兆候をつかもうとしている。
 なおオホーツク海高気圧によるいわゆるヤマセに対し、一般的な東風もヤマセと呼んでいるようである。
 対岸の山々が近く見えるということは、低気圧の接近によって大気の状態が不安定になった結果、対流活動が盛んになり、地上付近に溜まっていた塵やもやなどが吹き払われて大気の透明度が増すと考えられる。最後の満潮・干潮や月の入りと風の吹き方は、気象学的には関係づけられない。