目次
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第三章 産業と社会そして人・地域
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第一節 銭亀沢の漁業・漁村構造の変容過程
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二 大正・昭和期の漁業生産と経済構造
主な漁獲物
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昭和九年の『
渡島
支庁管内水産業概要』(津田美津彦、以下『
渡島
水産業概要』と略す)には、昭和六年から八年の銭亀沢村の魚種別漁獲高と水産製品産額が示されている(表3・1・9および10)。これによると、昭和六年の生産額では、鰯が七三・六パーセントと最も多く、次いで
昆布
が一六・三パーセントとこの両者で全体の約九〇パーセントを占めている。これらの鰯、
昆布
の大部分は、魚粕、折
昆布
などの乾製品として出荷されていた。
また、後にこの地域の漁業のおおもとをなす烏賊(柔魚(いか))は、この時期には三・九パーセントを占めるに止まっていたこと、函館市街地向の鮮魚とみられる鰈、鮭・鱒、鯖(さば)その他雑魚が漁獲されるようになっていることなどが目立っている。
とはいえ、この地域の漁業は、この時期においても、鰯漁業と
昆布
採取業が大きな比重を占めていた。
表3・1・9 昭和6~8年の銭亀沢村の魚種別漁獲高
表3・1・10 昭和6~8年の銭亀沢村の水産製品産額