最初の漁業組合

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 明治二十六(一八九三)年二月に農商務省農務局がまとめた「水産業諸組合要領」(以下「組合要領」と略す)には、前年二十五年六月三十日現在の全国漁業組合の概況が掲載されている。この中に、銭亀沢村に関係する「根崎・志苔」「銭亀沢・亀尾」「石崎」の三つの漁業組合があり(表3・1・13)、これらの漁業組合が、この地域における最初の漁業組合ということになる。
 「組合要領」には、表3・1・13以外の事項についての記載はないが、組合の設立年月日が「明治十八年一月二十八日」であることからみて、明治十七(一八八四)年五月の函館県漁業組合条例(甲第一五号布達)に基づき設立された組合ということになろう。
 この函館県漁業組合条例は、各沿海町村に漁業組合を設立して漁民の加入を促し、組合が定めた申合規約によって乱獲を防止し、営業上の弊害を是正することを期待したものだった。申合規約には、正副の取締が組合の業務を統括すること、漁業の漁期および漁具、漁法の制限を設けて、水産資源の繁殖保護、製品の改良などを図り、漁民生活の改善、向上を図ることが目的とされた。

表3・1・13 明治25年漁業組合の概況