アワビは昔は重要な漁獲物であったが最近では少なくなった。漁具は最初は三本ヤスで昭和四十年代からカギで採る人も増えた。最近ではハサミで採っている。
アワビの漁期は九月中旬過ぎから翌年二月までで、十二月二十日から一月十日が盛漁期であった。正月に間に合わせる。しかしこの時期は海が荒れるので、週に三日もでられれば良い方であった。
アワビ漁の初日はアラキといい、管理委員会の指示でアラキの日を決め、漁に出る日は、旗の合図で出漁した。アワビの場合はかつては時間の制限はなかった。
ヤスは突いたと同時にねじるのがこつで、うまくやらないとアワビが岩にくっついてはがれなくなった。突いたアワビは海中に沈めたアワビカゴに入れておいた。
アワビは深さ三ヒロから五ヒロくらいのところに多くいる。ホコは五ヒロホコと三ヒロホコを用意し、ホコの先にはヤスを三本束ねた。五ヒロよりも深いところはハヤツギというホコを足した。ホコはアサダの木を用いた。この木は細くても丈夫であった。これは函館の大森町の問屋から購入した。
ホコの太さには二段階あり、シオが早いときにはシオキリの良い細いホコを使った。ホコが太かったり、長くなるときには浮力が付くので、ホコの先にオモリを付け、ヤスも大きく重いものにした。ヤスの重さには三段階くらいあった。
カギは昭和四十年代に入ってきた方法で、上磯町方面から導入された。ほとんど同時にハサミも使われるようになったが、これも上磯方面から入ってきたものである。アワビの場合、人にもよるがハサミよりカギの方が使いよいといわれ、ハサミは現在ではウニに多く使用されている。
アワビは根崎方面から来るショイコといわれる女性に売り、彼女たちは湯川に持っていって販売した。自家用として食べるときには、主に煮付けて食べた。醤油味でも味噌味でもうまかったという。