部落会の会長、副会長、会計は選挙で選ばれた。大字石崎では、人口がほぼ同じになるように六つの字は八区分に分けられた(各字は、区にほぼ相当)。各区から四名の協議委員(うち一名が区長)が選出された。したがって、部落会は三二名の委員(うち八名が区長)と会長、副会長と会計から構成されていた。
徴収される会費は各世帯ごとに一律であった。漁業組合の会議室で、年に一度、年度初めに、部落会総会と呼ばれる定期総会が開催された。会の内容は評議員会とほぼ同じであった。ただし戦時中は、この部落会が、森林組合に代って石崎の共有林を管理していた。
各区は四班からなる。各班は、一〇世帯から一二世帯で構成され、隣組と呼ばれた。各班(各隣組)には班長が一名おり、最初は選挙によって選出されたが、そのうちに持ち回りの当番制になった。この隣組と呼ばれる班は、配給物資の配分、協議会の通達の伝達、労働奉仕の連絡など戦時行政の施策を支える社会単位であった。
表3・3・6 銭亀沢地区の町会一覧
町会名 | 構成 | 町会が祭礼に 関係する神社 | 備考 |
銭亀町会 | 13班、各班10~14戸 | 銭亀八幡神社 | |
高松町会 | 6区、各区80戸余り | なし | 函館空港拡張のために移転し |
てきた世帯からなる | |||
鶴野町会 | 3区(白石、鶴野、 | 稲本稲荷神社 | 農業関係者が中心 |
豊原各町会)、各区 | |||
8~9戸 | |||
根崎町会 | 10区、各区30~38戸 | 根崎川濯神社 | |
高松町親交会 | 11班、各班10~15戸 | なし | 根崎川濯神社の祭りに住民は |
参加 | |||
高根西部町会 | 6区、各区4~6班 | なし | |
各班8~10戸 | |||
瀬戸川町会 | 25戸から構成 | なし | 志海苔神社の祭り住民は参加 |
空港団地町会 | 13班、各班25戸余 | なし | 町会で盆祭りをおこなう |
志海苔町会 | 8区、各区20戸余 | 志海苔八幡神社 | |
三協町会 | 中野・赤坂・石倉町 | なし | お盆の時サマーレクリエーシ |
各町10戸余 | ョン大会を開催 | ||
望洋団地自治会 | A地区10班・B地区 | なし | 旧は8班と9班区。現在も戸 |
11班、各班10~22戸 | 数が増加しつつあり、地区お | ||
よび班を再編成中 | |||
新湊町会 | 6区、各区3班 | 石倉稲荷神社 | |
豊原町会 | 5班、各班4~10戸 | (以前は、豊原神社) | 現在奉賛会は町会から分離 |
石崎町会 | 8区、各区(字)4 | 石崎八幡神社 | |
班、各班10戸余 | |||
古川町会 | 8部、各部3班、各 | 川濯神社 | |
班10戸余) |
各区ごとには寄合があったが、部落会で決まったことを通達するための会合であったようである。定期的な区長会議はなかったが、お盆の時などに余興を考えるために区長が集まることがあった。
この部落会や班、隣組の枠組みは、昭和二十二年に法律上は廃止されたが、四十一年に銭亀沢村が函館市に合併した後も、日常生活の上では、近所付き合いや助け合いの単位として存続してきた。