〈信用部〉

279 ~ 279 / 521ページ
 漁業協同組合の発足当時は、その事業は生産と販売に重点がおかれていたが、昭和三十一年八月に信用部は一部門として独立し、「漁況不振と無計画な家庭生活状態の持続は、次第に漁家経済を脅かし、不安定となったので、万一の場合に備え、家庭生活を合理化せしめ積極的に貯蓄の必要を指導してきた」(『石崎漁業協同組合の動向』昭和三十八年石崎漁業協同組合)。
 この信用部の主な機能は、組合員の貯金と貸し付けであった。貯金の種類には、組合員世帯を対象とする普通貯金、婦人、子どもや青年を対象とする月掛け貯金、婦人の間でおこなわれていた衣料講にとってかわる購買貯金、販売代金より昆布一〇パーセント、昆布以外の漁獲物から五パーセント、農産物から三パーセントを強制天引きする備荒貯金や、全道漁村一日皆貯金運動、そのほか随時おこなわれる定期定額貯金などがあった。時代とともにその種類は増加し、貯金の内容も多様化していった。また、船外機資金、漁船建造資金、建物改築資金、生活資金や購買資金など長期貸付および短期貸付の信用事業を組合員に対しおこなってきた。
 組合員および組合の努力で、組合員の貯金高は着実に伸び、昭和三十一年設立当時の組合員貯金の総計が五二三万四〇〇〇円であったものが、昭和三十七年十二月末には七四八二万二〇〇〇円に、昭和四十七年には五億六〇〇万円に、昭和四十九年には七億二一〇〇万円に、昭和六十三年には二三億三〇〇〇万円に、そして平成三年には二七億九五〇〇万円に達した。平成三年度までの貯金と貸付金の推移は、年度によって多少の増減があったが、全体的に組合の貯金高は向上してきた。