(2)石刃

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 次の段階は石刃技法によってつくられた大型石刃、彫刻器、厚手のスクレーパー等を主体とする前期白滝文化である(第5図)。この時期の遺跡数は少なく白滝村第13地点遺跡、同村ホロカ沢1遺跡、北見市中本遺跡、黒松内町樽岸遺跡などが知られている。本州では同一の石器組成は発見されていないが、沿海州南部のシホテアリニ山脈東麓のウスチノフカ遺跡下層で発掘された石器は前期白滝文化のものと同一の組成であり、その年代は約2万年前から1万5千年前とされている。宗谷海峡はまだ陸続きの状態で、ナイフ形石器の時期とは異なり、文化的には沿海地方など北との関係が強い。

第5図 石刃(黒松内町樽岸遺跡
武内収太ほか『樽岸』市立函館博物館、1956