(1)主な漁獲物

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 明治の頃から大正にかけては、鰊(ニシン)・鰛(イワシ)・鮭(サケ)・鱈(タラ)・昆布(コンブ)などが主な生産物で60から80パーセントを占め、塩乾物、粕油として製品化され、鰈(カレイ)・目抜(メヌキ)・鰤(ブリ)など鮮魚類として出荷される物は全体の10パーセント程度でしかなかったが、昭和10年代に入ると、これらの鮮魚類が30から40パーセントに増加する。これは漁法の改良により漁獲する種類も豊富になり、また、漁船の性能がよくなり、鮮度のよいものが消費者に届けられるようになったということがあげられる。鮮魚は価格もよく漁業者にとっても歓迎されることであった。
 以下、昭和元年から15年までの主な魚種別の生産高の割合を記す。

魚種別の生産高の割合(北海道) (単位:%)

 漁獲物は年により増減はあるが、生産高の割合の大きなものは鰊・鰯・鮭鱒・柔魚・昆布である。1、2位の鰊(ニシン)と鰛(イワシ)については後半、鰛の割合が増加しているが、これは道南、特に噴火湾を中心に、昭和の初期以来、群来(くき)が続き大いに生産が上がったことによるものである。昭和13年以降は、柔魚(イカ)の漁獲高が鰛をしのぎ1位に上がるが、これは道南・津軽海峡でのイカの回遊が増えたこととイカ釣り漁業、漁具の改良によるもの。帆立が後半伸びたのは貝柱が輸出品として高値を呼んだからである。 以下は『函館魚市場取扱い鮮魚類』であるが、取り扱いの種類が非常に豊富である。
 
スズキ・イシナギ・タイ・マゾイ・シマゾイ・ナガラゾイ・ハチガラゾイ・ハタハタ・アジ・ブリ・ガヤ・トウベツカジカ・ギスカジカ・サバ・カツオ・マグロ・ハゴトコ・ヒラメ・ソウダガツオ・アンコウ・カジカ・チシベツカジカ・カナガシラ・ホウボウ・ニシン・アイナメ・ホッケ・ムツ・カマス・タナゴ・タラ・シラス・オヒョウガレイ・ミズクサガレイ・ソウハチガレイ・クロガシラ・イシモチ・サメガレイ・ブタガレイ・シラウオ・マガレイ・タカノハ・フナ・ウグイ・サヨリ・イトウ・アメマス・イワナ・カスベ・ヤマメ・サケ・マス・アユ・チカ・ヒシコ・マイワシ・イイダコ・ホシザメ・ハモ・アオザメ・ツノザメ・アカエイ・ヤリイカ・コウイカ・ゴミイカ・ホタテガイ・アワビ・ホッキガイ・ハマグリ・アサリ・アカガイ・イガイ・バラノテガイ・ガザミ・イバラガニ・シャコ・タコ・カキ