師範学校受験のため徒歩で函館へ

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 古武井小学校第40回卒業生の大井勝也氏(昭和7年生)は、母校の創立80周年記念誌の『ふるさと~古小を語る』に、思い出の記を寄せられているが、その冒頭文に、当時の交通状況について、興味ある文を載せている。以下(冒頭文を)抜粋し記載する。
 
 昭和二十二年(一九四七)三月、卒業式は大吹雪。翌日だったと思う、吹雪でまた交通機関が途絶えたので、私は、旧制師範学校予科を受験するため、朝六時頃リュックを背負って父と出発した。途中で野呂弘先生、健君と合流する。日浦のトンネルの辺りでは、怒濤の飛沫が飛び交う合間を走り抜けたりして、夕方の四時頃、やっと湯の川にたどり着いた。明日はいよいよ試験である。
 
 師範学校受験という大切な日にバスが止まっても、いつものことと、朝早くから、強風に波が洗う道を、およそ36キロ、歩き続けて10時間、夕方、ようやく函館に到着している。このようなことは、日常ありふれた出来事だったのであろう。