昭和十八年大東亜戦争たけなわのころの村行政を知る手がかりとして、歴代村長が記録した『事務引継ニ関スル件』(役場保管)の昭和十八年部分を記すことにする。
事務引継ニ関スル件
今般當村長退職致候ニ付別紙目録ニ對シ事務引継候也。
昭和十八年五月三十一日
元椴法華村長 伊藤國平
椴法華村長谷内久吉殿
引継演説書
(一) 椴法華村湯ノ川ニ至ル鉄道省営バス運行方ノ件
本件ハ從来其筋ニ陳情シタルモ最近社會状勢ノ関係上中絶ノ状態ニアルモ時期ヲ得テ極力実現方ニ御努力セラレ度
(二) 椴法華森港間地方費道路改鑿ノ件
本件ハ十餘年前ヨリ地方費道トシテ認定セラレタルニ拘ラス尾札部椴法華間人馬ノ通行出来サル處アリテ兩村関係住民ノ不便甚敷状態ニアリ之レガ完成ニ御努力セラレタシ
(三) 國費大漁港築設ノ件
本件ハ太平洋ニ面スル一大魚田ニシテ内地及近海ヨリノ漁船モ入港シ且ツ本村又数十艘ノ発動機船ヲ有シ将来大イニ海田ヲ開発シテ水産業ノ振興ニ寄與スベキ地ノ利ヲ有スル處ナルヲ以テ本村内ニ一大國費漁港ノ築設ヲ陳情中ナレハ之レカ實現ニ御努力セラレ度
(四) 村醫師招聘ノ件
現在醫師一名アルモ健康勝サル為充分ナル活動覺束ナルヲ以テ村醫ヲ招聘シテ村民ノ保健衛生等ニ萬全ヲ期スヘク各方面物色中ニアリ一日モ早ク之レカ實現ニ御努力アリ度
(五) 船入澗修築ノ件
字元村ニ船入澗アルモ数度ノ災害ヲ受ケテ破損甚敷ヲ以テ函館土木現業所長ニモ陳情シアルヲ以テ之レカ實現ニ御努力アリタシ