椴法華・古部間海岸道路の建設

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 このように何度も何度も道庁に陳情され、今度こそはと思われながらも、あるいは道の計画の中に組み入れられてからも着工することのなかった椴法華村-尾札部村字古部間の道路は、昭和三十八年十月十六日、遂に着工された。しかし関係町村は、工事着工後も工事の中止を恐れたのか、一日も早い完成を望む旨の陳情書を何度も道庁に提出するような状態であった。
 このような地域住民期待の中で工事は進められ、昭和三十九年十一月四日、最大の難関であった「滝の沢隧道」が貫通し、昭和四十一年十月五日遂に延長八百五十米・幅員六米の滝の沢トンネルが開通した。同年十月十日、滝の沢トンネルの開通式がトンネル前と椴法華小学校で開催された。この日は朝から強風が吹きまくっていたが、椴法華の住民の喜びはこれを上廻る大きさ、椴法華・古部間の海岸道路の完成は、地域産業の振興・観光開発・保健衛生面・その他住民生活に大いなる恩恵を与えるものと期待されていた。
 同年十一月八日、椴法華と古部が初めてバス路線によって結ばれることになり、椴法華村から第一便が出発する。
 このようにして住民期待のうちに椴法華・古部間の海岸道路は開通したが、実際に使用してみると台風などにより大時化となった時、太平洋の荒波が道路上まで押し寄せることや、トンネルに至る取りつけ道路では、雪どけや長雨の時期になると必ずといってよいほど大小の落石が発生した。このためこんどはこれらに対する危険防止が必要となり始めた。そしてこれが対策の一環として国道昇格陳情が併せてなされた。
・昭和四十一年、道道函館椴法華-森間の国道昇格陳情団上京。
・昭和四十五年四月一日、地域住民の悲願であった道道函館-椴法華-森間が「国道」に昇格し「二百七十八号線」となる。

昭和41年10月10日滝の沢トンネル開通式