しかし上下水道の設備がなく、糞尿・塵芥等の処理が不完全であり、少しくらいの病気は売薬を飲んで仕事に従事するため、これが原因となってジフテリヤ・パラチフス・腸チフス等の伝染病にかかる人が多かった。現在では抗生物質等の発達により余り死に至るまでのことはないが、当時の医学の力ではいかんともしがたく、死亡率の高いものに結核・脳膜炎・肺炎等があった。この他に生命を脅かすものではないが、トラホームの流行がみられ、学校・役場等ではこの撲滅のため、予防及び治療によく努力されていた。
次に大正時代の保健衛生関係の主な出来事について記すことにする。
大正二年~六年死亡原因表