椴法華村サガ釣船の遭難

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 『函館毎日新聞』によれば大正三年二月に発生した椴法華村サガ釣漁船の遭難について次のように記されている。
 
   大正三年三月三日 函館毎日新聞
   ▲大畑沖の遭難船
   先月二十一日午前一時頃下北郡大畑村字木野部の前濱凡そ百間位の沖合に於て漁船が遭難し救助を求むる聲闇を破りて聞えしかば大日本帝国水難救助会木野部支所員は驚破(スワ)こそ一大事と直ちに救助手を招集し一同総出となりて救助に從事し辛うじて救助するを得たり。遭難者は亀田郡椴法華村石川留吉外五名にて事の玆に致れる始終を聞くに同船は二十日午前三時頃西風に乗じて椴法華を発し、惠山岬を距る凡そ二十海里の沖合にてサガ魚釣に從事しをりしが間もなく天気次第に険悪となり西北の強風に変りし爲夫れ大変と午後三時頃俄に帰途に就きしが何分にも風強くして目的を果さず斯くす中に日暮れに差掛りそれは何時しか方向を失ひ風に任せて同地木野部の沖合に漂着し救助を乞ひたる者にて幸に救助者の盡力に因りて事なきを得たるは何よりなりき尚同船はサガ魚五百本を積みをり一本四五銭にて同地に賣却し、二十三日午前八時頃凪ぎ模様を見て惠山沖を指して帰れりと。