尾札部・臼尻・鹿部三村の合併促進は、協議会での事業計画も新役場庁舎位置の問題を残してまとまり、支庁関係者は期限内合併の実現を楽観視した。
しかし、新村役場庁舎位置について、三村それぞれ、自村への庁舎位置が最良として主張を譲らなかった。各村三名ずつの小委員会に移して妥協点を見出そうとした。
鹿部村は、国鉄鹿部駅に最寄りを優利としてあげる。
臼尻村は、三村の中心地として行政の中心に位するとした。
尾札部村は、戸口や生産において三村中最大であり、道道川汲山道線を通じて函館市との直通の利を挙げ、また、新築したばかりの庁舎は、合併後の行政事務に足るとした。
八月二九日の小委員会の協議会に、道の地方課長、関係者が出席、「新役場は三村の中心に置くのが妥当」との道の意向が暗示されたとき、はっきりした反対意見もないのでこの方針で推進され、九月四日には最終決定できるものと思われた。
しかし、このことが鹿部村の態度を硬化させることになり、急転して鹿部村は、以後、合併に反対する方向へとすすんでいく。
このため、九月二〇日すぎの道議会に書類を提出することは不可能になった。
昭和三一年九月二五日、臼尻村役場が「町村合併について」の中間経過報告を、村内の家庭に回覧した。回覧の要旨は、
第三回の協議会で、三村合併を再確認。
第四回の協議会で新町建設計画案を審議決定した。
つづいて庁舎位置について討議し、三か村の意見を第五、六、七、八、九回と六回にわたって協議をつづけたが、庁舎位置について合意が得られないで現在にいたっている。
ことここにいたって、最終手段として尾札部村と臼尻村二か村による段階合併とし、近い将来、鹿部村との合併を図るという考えを村議会に諮ったところ、この方法で進むべきであるとの結論に達した。尾札部村に段階合併を申し入れたが、未だ協調を得られず、ついに町村合併促進法の有効期限までの合併実現は不可能になった。
この一〇月一日から新市町村建設促進法が許可されるので、ひきつづき三村合併のため、三村の協調を念願して前進したい。
という臼尻村の方針を臼尻村民に示した。