敗戦後、戦地(外地)や軍隊から復員して帰宅した人たちは、新しい時代を迎えて、意欲的に沿岸漁業に励んだ。
しかし、すべての物資の乏しさから燃料不足、漁業資材不足、天井しらずのインフレ物価のなかで、漁業の経営は至難な状況下にあった。
昆布を採り、幸いイカ漁に恵まれるなかで、漁業会の運営も民主化のかけ声の中で活発な意見や活動が目立った。ここに昭和二二年三月三一日開催された、尾札部漁業会の臨時総代会の記録がある。
尾札部稲荷神社にて午前九時開会、午後二時五〇分終了。総代定員四二名、出席三四名、うち委任状四。
四月一二日に会則変更の申請がなされている。
会議の議題は1賦課金徴収方法 2会則 3漁業料 4借入金最高限度 5余裕金預入銀行 6役員報酬 7役員給与規程改正 8(職員)給与規程改正 9事業計画 10大沼電鉄株引受調整。
また、改正された役員の報酬は次のとおりである。
会長一万円、専務理事七千円、理事千五百円、監事千円、昆布大旗持期間中二百円。
このときの漁業会役員は次の人々であった。
会長長内宗太郎、専務理事汐谷勝磨、理事杉林季朔、寺岡源次郎、前野玉三郎、能戸梅蔵、佐藤豊太郎、監事藤本種八、菊地静吾(三月二九日付辞表)、新監事下池巌、倉橋信也。
昭和二三年五月一八日、尾札部漁業会臨時総代会。総代四一名、出席三六名、うち委任状三。
五月一八日会則変更を申請。
この日の議案ならびに協議案は、議案 1会則変更 可決、協議案 2漁業会機構改革委員会設置 可決、3漁業用資材配給調整委員推薦 可決、4販売委員改選 保留。
このときの役員、代表理事佐々木才三、理事山中宏、坂井徳三郎、杉谷幸作、佐々木光太郎、三輪重次郎、監事伊藤市郎、中村利雄五月新任。
協議案議題にあるとおり、漁業会の機構改革は急務となり、漁村の民主化は漁業会の組織機構の改革にもとめられて、次の漁業会解散、新しい水産協同組合法制定の国の動きのなかで、漁村は生まれ変わろうとしていた。
昭和二三年法律第二四三号水産業協同組合法の制定に伴う水産業団体の整理等に関する法律第一条第五項の規定により、昭和二四年一月一日をもって、臼尻漁業会・尾札部漁業会は解散し、すべてにおいて町内各地域に設立された新しい漁業協同組合に引き継がれた。