当時は杉林家だけではなく、手広く漁業を経営している家では、自給自足のために村の生活に必要な物資を自賄いしていたのである。
少し詳しく杉林文書を記す。
立木払受願
茅部郡字トゝメキ沢学林第一
一 五葉松 [周三尺 長弐間] 但 家柱用 拾本
但尺〆壱斗ニ付
金十弐銭
此尺〆 六本六斗九升
此代金 八拾銭三厘
但 山林内営工
前記立代價ヲ以テ払受相願候也
茅部郡尾札部村 番地 平民
明治二十年六月十七日
茅部郡尾札部
払受人 杉林 金次郎 印
茅部郡第七学區
学林取締 小原 多次郎 殿
(第四号)
二十年六月十七日 認可
右 取締役
小原 多次郎
(表)杉林家「官林・学林払下」(1)
(表)杉林家「官林・学林払下」(2)
以上のように、官林、学林から払下げをうけて、船を造り、家を建て燃料をまかなった。漁業のかたわら、寸暇を惜しんで植栽し、炭焼きをさせ、薪を搬出した。この林業収益は、漁家経営を安定させる大きな経済力となっていたのである。
杉林家文書 杉林信弥所蔵
立木拂受願書 杉林信弥所蔵