〔神木彫像〕

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 木直稲荷神社の境内に聳え、神社の神木と崇敬されていた巨木が昭和六年の秋、風なくして自然に倒れた。巨木がどこにも無害で倒れたのは神霊の証であるとして神霊加護と大願成就を祈念した。篤志者達がこの神木を材として、白狐一対、大黒恵比須神一対、龍神一体、金毘羅神号額一個を、函館の山下龍雲に製作してもらいこれを奉納した。
 その木彫は見事な出来映えで、稀にみる昭和の財宝として木直稲荷神社に祀られている。
 奉納木箱の裏書につぎのように記されている。
 
   記念之書
  此ノ御神体ハ茅部尾札部村字木直ニ祀
  キマツル稲荷神社境内ニ年古ノ生茂シ約四百年以上ノ星霜ヲ
  越エリト云ヒ傅ラレ古来神木トシテ村人ノ尊崇浅カラザルモノナリ右霊木ハ今ヨリ十二年
  前樹齢ツキタルヤ枯木トナリ
  人々之ヲ切リ倒サントセシガ不思議ノ示現アリテ伐採ヲ
  思ヒ止レリ然ルニ昭和六年旧十一月四日午後八時頃自然ニ倒壊セリ
  依テ之ヲ永久ニ記念センガ為ノ左記氏名者発起トナリ霊木ヲ以テ此ノ御神体ヲ謹製シ奉リシモノナリ 以上
                 御神体奉納 発起者
                   茅部尾札部村字木直村
                     神社総代  田名部 石五郎
                           大住 隅蔵
                           今川 菊次郎
                           渡辺 林助
                     信者    船登 富一
                           大住 ヒサ
                         外鱈釣一同
                   函館市音羽町
                     神仏彫刻師 山下 龍雲
                              刻之

木直稲荷神社 大正期


木直稲荷神社 神木による御神像彫刻


御神像奉納者人名