昭和五〇年八月二四日、著保内野の小板松男所有の畑を耕作中、主婦アエ(昭和 生)が土偶の破片を発見、役場職員小板幸雄を通じて町教育委員会に届けられた。
著保内野の中空土偶が報じられると、関係官庁ほか多くの来訪者があった。九月二八日、文化庁鑑査官坪井清足が来町した。
中空土偶は貞操帯をつけた土偶などと異名をとった。
のち、漆を塗った土偶として確認され昭和52年東京国立博物館で開催された特別展「東洋の漆工芸」展に出陳されて初公開した。この土偶は昭和五四年、国の重要文化財の指定を受けた。
遺跡調査がすすめられていた町で、未確認の台地から重要文化財が出土・発見された。このことは南茅部町の埋蔵文化財保護と、その調査にとって一層大きな意味をもたらすこととなった。
考第三七一号
重要文化財指定書
土偶 一箇
北海道 茅部郡 南茅部町 字著保内野出土
高 四三・〇センチメートル 最大幅 二〇・一五センチメートル
右を重要文化財に指定する
昭和五十四年六月六日
文部大臣内藤誉三郎 印