10 石造狛犬 せきぞうこまいぬ

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 形態 古くは右に獅子、左に狛犬を置くが、近世以降は左右とも獅子が一般化する。
 名称 起源の項を参照。
 造立の目的 古くは貴人、神社の加護。
 形式 尾道形、出雲形、浪花形など。
 起源 木製の狛犬は平安時代には魔除けとして宮殿、貴族の館で獅子・狛犬のセットで供されていた。当時の獅子は現在普通に見られる口を開けた(阿ア)獅子であるが、狛犬は一本の角を持った想像上の犬系の動物で口を閉じた(吽ウン)ものである。獅子は向かって右に、狛犬は同左におかれていた。表記の仕方は清少納言の枕草子に見られるように獅子・狛犬と併記した。現在は京都・上賀茂神社などの拝殿に見ることができる。
  現在見る石造狛犬は左右ともに獅子の形態をしているが、これは古来、宮廷の舞楽の面として獅子・狛犬と別々であったものが、獅子の名称は舞楽の面に残り(現在の獅子舞の面)、狛犬の名称は対の置物の獅子に与えられて本来の狛犬の形態は消滅した。わずかに獅子の頭部に短い角として残っているものもあるが、新しいものには見ることはできない。