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道 標 どうひょう
 社寺の門前や路傍に残っている石造物に「道標」(道しるべともいう)がある。これには道案内を主体したものと、他の目的で立てた石仏石塔類に道案内の銘文を併記したものとがある。前者がいわゆる「道標」で後者が「道標銘」である。
 人を道案内するという親切を目的として道標を立てることによって宗教的な満足感を得たのも、仏教における造塔することによって功徳を得られるとする考えが強かった時代があったことの反映でもあった。
 このような文字による表現のほかに、「↑」「指さし」のようにイラスト的に方向を示したものもある。これは文盲者でもわかるように配慮したものではなかろうか。
 
塔礎石 とうそせき
 三重塔、五重塔などの基礎となる石。中心に置かれる礎石が心礎石である。