伝統や文化を守り,活かす(廿日市市(はつかいちし)宮島町)

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 宮島は,日本三景(にほんさんけい)の一つです。厳島神社(いつくしまじんじゃ)は世界文化遺産(せかいぶんかいさん)にしていされていて,日本だけでなくいろいろな国からの観光客(かんこうきゃく)もおとずれます。そこに住む人たちは,古くからの伝統を守り,活かしながら観光を中心に生活しています。
 また,島の人たちはたくさんの人たちに宮島に来てほしいと願っています。

 宮島の伝統はどのように守られ,どのように活かされているのか調べてみましょう。

宮島観光協会(かんこうきょうかい)の齋藤(さいとう)さんのお話
 宮島には1年間で約400万人もの人が観光にいらっしゃいます。
 わたしは宮島のよいところをたくさんの人に知っていただくことや,宮島に来ていただき,宮島で楽しくすごしていただくための仕事をしています。
 宮島は江戸時代から長く続く観光地です。船で渡ってくる島であることや,歴史(れきし)を感じる建物。そしてかわいいシカがいることも人気の秘密だと思います。
 宮島に来たみなさんには厳島神社だけではなく,他の建物や町並(まちな)み,食べ物,自然などたくさんの魅力(みりょく)を発見してほしいと思っています。


厳島神社と大鳥居(おおとりい)

もみじまんじゅう

日本一の大しゃもじ

かわいさが人気のシカ

伝統(でんとう)を守る
伝統の行事を守る
 宮島には昔から伝わる多くの行事があります。宮島の人たちはこれらの行事を伝えていこうと努力をしています。

毎年夏に行われる「管絃(かんげん)祭(さい)」の様子

その他の伝統的な行事

「たのもうさん」
 毎年米や野菜の豊作(ほうさく)をねがう行事です。


「鎮火祭(ちんかさい)」
 おおみそかの夜,火事にならないことをねがって行うお祭です。

 
伝統の文化を守る
 宮島では,木を使っておぼんやおわんなどを作る宮島細工(みやじまざいく)が伝統として今も残っています。
 宮島細工は,木目(もくめ)をいかした,温かみのある伝統工芸品(でんとうこうげいひん)です。


宮島細工(みやじまざいく)の職人

おみやげの宮島細工(みやじまざいく)

古くから残る建物を守る

 宮島には古くから残っている建物がたくさんあります。ほとんどの建物が国宝(こくほう)や重要文化財(じゅうようぶんかざい)に指定(してい)されています。これらの建物を守るために,いたんでいるところはないかを見て回ったり,もしあれば修理をしたりしています。
 一番こわいのが台風です。平成3年の台風19号で,厳島神社は大きなひがいを受けました。修理には3年半もかかりました。
 

豆ちしき 【宮島で見つけられるかな?】
 ふつうのポストは四角い形をしていますが,宮島では昔使われていた丸い形のポストが見られます。

自然を守る
 宮島はほとんどが山林(さんりん)です。人が住んでいるのは,ほんの一部にすぎません。宮島の山林は手つかずの原生林(げんせいりん)が残っていて,ここにしかいない生物もいます。宮島の人々はこの山林を守るために,山の手入れをしています。


「ミヤジマトンボ」
宮島にしかすんでいない希少(きしょう)なトンボです。

 
   豆ちしき
 宮島は島そのものが神様であるとされてきたので,木を切ったり,土をほったりすることが禁(きん)じられてきました。そのために豊かな自然が残されてきたのです。

伝統を活かす
 
 宮島では伝統を守りながら,それらを観光に活かしています。たくさんの人に宮島に来てもらうためにいろいろな工夫(くふう)や努力をしています。
 なぜ,宮島にはたくさんの観光客がおとずれるのだろうか。

看板(かんばん)
 宮島には,船で渡ります。さんばしを出ると観光のための看板やのぼりがあります。観光客にわかりやすいような大きな地図もさんばしの前にありますし,さんばしには,観光案内所(かんこうあんないしょ)もあります。また,看板は外国からの観光客のために,英語や中国語,韓国(かんこく)語などでも書かれています。


施設(しせつ)
 宮島では,観光客のためにいろいろな施設も整(ととの)えてあります。桟橋(さんばし)の前には駐車場(ちゅうしゃじょう)や自転車おき場,タクシー乗り場などがあり,いろいろなところに公衆(こうしゅう)トイレやゴミ箱もあります。


 また,宮島には海水浴場(かいすいよくじょう)や公園やキャンプ場,水族館などの施設があります。
 宮島の弥山(みせん)という山にはロープウェイでも登ることができ,たくさんの野生(やせい)のサルや美しい瀬戸内海の島々を見ることができます。

水族館

ロープウェイ

豆ちしき
宮島のゴミ箱にはふたがついている!
それは
おなかをすかせたシカがゴミ箱の中のゴミを食べてしまうからです。ビニールを食べて病気になってしまったシカもいます。

商店街(しょうてんがい)
 宮島には観光客(かんこうきゃく)が買い物をしやすいようにみやげ物屋が集まった商店街があります。商店街では,いろいろなイベントを考えたり,アーケードをつけて雨でも買い物がしやすくしたりしています。
 また,宮島にとまってもらえるように旅館(りょかん)もたくさんあります。旅館ではお客さんをさんばしまでバスでむかえに行くサービスをしています。



宣伝(せんでん)
 たくさんの観光客に来てもらうためには,せんでんがかかせません。宮島の観光(かんこう)協会(きょうかい)では,パンフレットを作ったり,本に宮島のことを書いてもらったり,東京に出かけて宮島のことをしょうかいしたり,ホームページを作ったりしています。多くの人に情報(じょうほう)を発信(はっしん)しています。

新しい行事やイベントを行う
 宮島では,伝統的な行事だけでなく,新しい行事やイベントも行われています。
 かき祭りや花火大会,コンサート,スポーツ大会など観光客に来てもらうための工夫をしています。

花火大会

かき祭り

 宮島の人たちのいろいろな工夫によってたくさんの観光客がおとずれているのね。

豆ちしき【宮島でしゃもじ作りを始めたのはお坊さん!】
 宮島のしゃもじはおみやげとして有名ですが,江戸時代まではこれといったおみやげがなかったそうです。
 それを見た「誓(せい)心(しん)」というお坊さんが,弁財天(べんざいてん)という神様の持っている楽器をヒントにしゃもじをおみやげにと考えついたそうです。
 他にも水不足になやんでいた島の人のために井戸を掘り,「宮島の恩人(おんじん)」とも言われています。