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目録ID mp000226-200010
文書名 弘前城堀浚之儀願之通被申付之儀御奉書
文書名(カナ) ヒロサキジョウ ホリサライ ノ ギ ネガイ ノ トオリ モウシツケラル ノ ギ ゴホウショ
文書名(ローマ字) Hirosakijo horisarai no gi negai no tori moushitsukeraru no gi gohosho
数量 1通(包紙2)
寸法(縦) 本文41cm
寸法(横) 本文56.5cm
形態に関する注記 外包紙33×48cm
その他の注記
言語 日本語
内容年 享和2年2月9日許可
解題・説明 享和2年(1802)、弘前藩は、長年の間に堀が自然に土砂で埋まったこと、また先年(明和3年、1766)に発生した岩木川の大洪水によって土砂が堀に流入したことを理由として、長さ235間・幅8間の北三之郭外堀(賀田門(よしたもん)の外の堀)と、長さ418間・幅8間の北四の郭外堀(亀甲門(かめのこもん)の外の堀)を元の通りにするため、江戸幕府に対し堀浚いを行うことを申請し、弘前城の堀浚い実施を許可された。本史料は、幕府老中が連署し申請内容を許可した旨の老中連署奉書である。
 江戸幕府の定めた武家諸法度の規定によって、大名が城の普請=土木を伴う工事を行う場合には、厳しい統制がかけられており、地震・風水害・老朽化等で破損・修復が必要な際にも大名が届け出を行うことが義務づけられていた。
 大名が城郭の修復普請を行う場合には、幕府に対して修補願(しゅうほねがい)(修復願書)を提出して申請することが必要であった。寛永年間(1624~1644)からは城絵図に修復箇所を図示し、願書に添えて申請することが始まり、徐々に一般的になった。申請に添えられる絵図面はほぼ定型化しており、本絵図のように、一部の修復を願い出る場合でも全城域が描かれ、さらに普請範囲を朱線で示し、寸法や破損状況が細かく注記された。
 申請をうけた幕府側は、老中連署奉書によって修復を許可し、その後着工が可能となる。城普請を許可する老中連署奉書には特色があり、伝達内容が後日の証拠として年次特定を必要となるため、寛永5年前後のものから、日付の右肩に元号・年数・十二支を明記した「付年号(つけねんごう)」が付され、また寛永10年代以降には奉書の書き出しに城郭名が明記されるようになる。
 実際の規定運用面では、寛永12年の武家諸法度改訂以降、新規の普請・作事等城郭の現状変更を伴う申請は将軍による決済が必要で、石垣修築等の普請や再建等の作事は老中の許可事項とされた。幕府は、原則的には修築申請を許可していたが、老中奉書に元通りに普請することを条件として明記した。一方、櫓・城門・土塀などの城郭建築の修理は土木工事より規制が緩かったが、災害や老朽化による再建は、従来通りに施工することが求められた。
 本老中奉書の包紙によれば、本史料は享和2年2月10日、老中松平伊豆守信明(のぶあきら)の屋敷において、松平家の用人より弘前藩江戸留守居役(御聞役)の雨森権市に手交されたもので、宛所は当時の弘前藩主津軽寧親(やすちか)である。内容は、弘前城の北三之郭外堀一か所、四之郭外堀一か所の外堀について、長年の間に堀が自然に土砂で埋まったこと、また先年(明和3年、1766)に発生した岩木川の大洪水によって土砂が堀に流入したために堀浚い、絵図に朱引きで示された範囲で行うことについて了解し、その願い通りに行うことを認めるというものである。「連々如元(れんれんもとのごとく)」とあるので、普請の年限等は限定されておらず、堀浚いを継続し、元通りに整備するという条件の下での許可である。なお、奉書に連署した老中は松平信明のほか、戸田采女正氏教(うじのり)・牧野備前守忠精(ただきよ)・青山下野守忠裕(ただひろ)・安藤対馬守信成(のぶなり)の4人である。
 この老中奉書が出されたことを受けて、弘前藩では2か所の堀浚いを実施し、享和2年8月4日に四之郭外堀の、また同年11月20日には北三之郭外堀の堀浚いをそれぞれ終えている。(千葉一大)
【参考文献】
森林助『津軽弘前城史』(弘前図書館、1931年)
日本歴史学会編『概説古文書学』近世編(吉川弘文館、1989年)
藤井讓治「大名城郭普請許可制について」(『人文学報』66、1990年)
白峰旬『日本近世城郭史の研究』(校倉書房、1998年)
笠谷和比古『近世武家文書の研究』(法政大学出版局、1998年)
三浦正幸『城の鑑賞基礎知識』(至文堂、1999年)
小石川透「弘前藩における城郭修補申請の基礎的考察」(長谷川成一編『北奥地域史の新地平』岩田書院、2014年)
解題・説明(英語)
所蔵機関 弘前図書館
原資料の所在地 弘前図書館
資料番号 津軽家-25
管理記号 TK215-52
カテゴリ区分 文書・記録
資料種別 城郭補修資料
資料分類(大分類) 津軽家文書
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