津軽地方で比較的多く見られる城館跡に、堀を方形に設けた方形居館跡がみられる。
この形態のものは当市域だけでも折笠(おりかさ)館跡・志戸野沢(しとのさわ)館跡・蒔苗(まかなえ)館跡・青柳(あおやぎ)館跡と四ヵ所が確認されている。方形居館跡は、比高差が小さいものは志戸野沢館跡で水田との比高差が一メートル、大きいものは青柳館跡で川岸からの比高差が八メートルという程度で、かなり平地に近い所に構築されるという傾向がある。また堀跡は潅漑(かんがい)用水路から水を引き込んで、水堀としているものが多い。
従来「方形居館」とは、開発領主が入ってきて、田畑に必要な「水利権」を掌握することを示すものとして重視されてきた。そのような開発領主の居館跡という視点でみると、当市域内でも開発領主が早い時期から進出してきていたことをうかがわせる。