写真52「被仰出書」(太政官布告第214号)
また、「学問は身を立てる財本ともいふべきもの」として、学校の教育目的を個人の利益を高めるため、と規定している点も注目される。学校で教えるのは「日用常行言語書算を初め士官農商、百工技芸、及び法律、政治、天文、医療等に至る迄凡(およそ)人の営むところのこと」と教育内容が詳しく示されている。また、学校における教育は日常生活に必要な「実学」でなければならないとしている。
政府が「被仰出書」を出して国民に求め、また、みずからを鼓舞したのは「邑(むら)に不学の家なく家に不学の人なからしめん事」の一句であろう。明治政府は国民皆学の理想をはっきりと打ち出し、それを国民に示したのである。