虫祭り

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さなぶり時期には虫祭り(虫送り、ムシボイ)が行われた、藁(わら)でムシ(蛇体)をつくり、田の水口に小ムシを置き、大きなムシは担いで地域を巡行する。笛で囃し、掛け声をかける。終わってから、ムシは村境に置くか、川、海に送る、後に供養して焼却するなどしていた。早くから、『永禄日記』などにその風習が記されている。笛太鼓で囃(はや)し、特殊な掛け声をかけ、太刀振りの行列を伴う場合もある。これも「虫逐抔と号、黄昏より壮年の輩市街村落に集り太鼓を打鳴し、夜間人の睡眠を妨げ間々醜体を醸し候哉にも相聞え風習野蛮の景況に近く、恥つべき事に候。以来神社祭事態を除くの外市村に於て右様の義無之様可致此旨毎度戸無洩可触示もの也」と禁じられた。衰退の原因はこの禁令よりも、農村の形態、農薬等の影響が強いと思われる。現在は西北津軽地区に伝承が残っているが、弘前地区にはみられない。