平成十六年八月十三日に幕を開けた第二八回夏季オリンピック・アテネ大会は、日本はもちろん世界に大きな感動を与えた歴史に残る大会といわれた。「オリンピック」発祥の地にして、近代オリンピック第一回開催の地に戻った大会、すなわち原点に立ち返ったという意味でも歴史的な大会といえるだろう。アテネ大会における本県出身の選手は史上最多の八人。弘前市出身のソフトボール競技の斎藤春香(さいとうはるか)選手もその一人であった。
第一回のアテネ五輪が開催されたのが一八九六年。いわゆる近代スポーツがイギリスで誕生したのがその約三〇年前のことである。つまり、この一三〇年間で近代スポーツは全世界に広がった。弘前市のスポーツを概観するとき、もちろん、この近代スポーツを視野に入れた世界的な視点から検討されなければならない。