解題・説明
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富永に所在する新大仏寺は、建仁2年(1202)に俊乗坊重源が開いた真言宗智山派の寺院である。伊賀別所といわれ、東大寺復興のため全国7ヶ所におかれた別所の一つである。新大仏寺には、本尊の木造如来坐像や俊乗上人坐像が国の重要文化財に指定されるなど、鎌倉時代の文化財が多数伝わる。この板塔婆(板彫五輪塔)もそれらの一つで、高さ約59cm、表面の各輪には円内に梵字が表され、梵字部分を除く一面に印仏1,036体が彫られている。裏面には、上半に宝篋印陀羅尼経を印刻し、下半には表面の印仏の数や建仁3年9月に重源が寄進した旨が記される。明治45年(1912)に国宝指定を受け、現在は国重要文化財となっている。
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