解題・説明
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柘植町山出地区に所在する徳雲山万寿寺は、中世には長福寺と称する大和国西大寺の末寺であった。天正伊賀の乱で荒廃ののち、天和2年(1682)に再建され、宝暦10年(1760)に万寿寺と改称したとされる。昭和7年(1932)の火災により本堂が焼失した際、運びだされた本尊の胎内から、仏舎利や摺仏とともに本尊造立の経緯を記した古文書が発見され、胎内銘から貞治3年(1364)に南都仏師寛慶・忍慶により制作されたことが判明した。また、当寺は松尾芭蕉ゆかりの寺院で、観音堂裏手には芭蕉の墓所があり、毎年11月12日の命日にはしぐれ忌が開催されている。
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