明治41年(1908)度

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10シーズン目

慶応義塾、YCACに初勝利
 慶応は11回目の対戦1)で、初めてYCACとの試合に快勝した。しかも完封というおまけつきである。いかに慶応の戦法が成功したかがわかる。この試合にCTBで出場している田邊九萬三の“セブン・システムと最初の勝利”から冒頭の部分を引用する。「折しもあれ明治四十一年の春、当時京都の帝大におられたクラーク先生からニュージーランド遠征軍のキャプテンであった、ギャラハーの著したコムプリート・ラグビーという本を送って来られた。これには同チームのセブン・システムの事が実に詳細に論議説明されており、殊に七人制のスクラムに就て力説されていた。(中略)この勝利の原因が悉くセブンシステムにありというわけでは勿論ない。慶応方の技術が長足に進歩を遂げた上に、こういう著書によって科学的技術を身につけたという自信が大きく影響したものと思われるが、七人制によるスクラム付近のディフェンスラインが、彼らにとっては全くの初対面で攻撃のチャンスが悉くスタートで刈り取られたのに作戦の齟齬を招いた事は争われなかった」(『慶応60年史』P130)。
M41(1908).11.14○慶応義塾12−0YCAC
G:三田綱町R:松岡正男第11回対戦
M41(1908).12.5●慶応義塾0−25YCAC
G:横浜公園R:不明第12回対戦
M42(1909).2.13●慶応義塾0−30YCAC
G:横浜公園R:不明第13回対戦
M42(1909).1.30●慶応義塾6−11○KRAC
G:横浜公園R:ジェフリー第2回定期戦

1) 『慶応100年史』に11回目の対戦で初めて勝利したとあるのは正しいが、10回目の対戦が欠落していたことが[『慶応60年史P127田邊九萬三の文章』と、『日本ラグビー史付録P33年表』により]確認された。