トップリーグの歩み

 
 平成13年(2001)度に町井徹郎が日本協会新会長に就任、日本協会のビジョンを打ち出して改革を進めた。それがアマ・プロオープン化であり、トップリーグ[まだ名称は決まっていなかった]の創設である。この改革がワールドカップ日本招致へと発展していく。
『機関誌』Vol.52-2、P44に“2003年度よりジャパンラグビー・スーパーリーグ(仮称)開催へ!”のタイトルで私が解説している。以下はその大要である。
「平成12年(2000)度に『社会人委員会』(堀越慈委員長)で検討されていたスーパーリーグ構想を引き継ぎ、町井新会長が2001年に、社会人、大学、国体を考える『競技企画委員会』を組織し、副会長の私が委員長兼務を命じられた。5つの目標を掲げたスーパーリーグ(仮称)の企画が理事会に諮られ、平成15年(2003)度からの実施が決定した。その目標は次の通りである。
1 ラグビー振興の起爆剤になる
2 日本ラグビーの強化と発展に寄与する
3 ラグビーファンの拡大に寄与する
4 事業収入の増加とこれによる強化・普及事業の拡充を図る
5 参加チームは普及活動に積極的に協力する」。
 平成14年(2002)8月8日に坪井孝頼専務理事が急逝する大変な時期と重なったが、真下昇新専務理事がこの事業を主導して、平成15年(2003)9月13日のトップリーグ開催にこぎつけてくれた。
 トップリーグの実現には現COOの稲垣純一、前NEC監督、細谷直ら若い人たちの情熱と努力に負うところが大きく、強化委員長だった宿沢広朗もトップリーグへの移行を強く推進した。
 日本代表ワールドカップで活躍するためには、年間を通じて社会人チームが激しい試合を競い合い、プレーヤーの力を高めていかなければならない。日本協会のビジョンを達成するために、トップリーグの創設は不可欠であると理解してくれた企業の応援がこれを支えてくれた。
 55年間の長きにわたって社会人ラグビーを支援してくれた朝日新聞社が、快くトップリーグ創設を了解し、引き続き協力を約してくれたことに、心から敬意と謝意を述べたい。
 日本協会は平成14年(2002)度の社会人大会の成績で、トップリーグ12チームを決定することにした。選出方法は次の通りであった。
1 地域リーグ(東日本、関西、西日本)の優勝3チーム
2 全国社会人大会 予選プール4グループの各2位までの8チーム(ベスト8)
3 条件2までが計8チームの場合には予選プール3位の4チーム
4 条件2までが計9チーム以上になったときは、残りの枠を3位チームのリーグ戦で決める
 以上により決定された12チームで総当たりリーグ戦を行う。
 シーズン終了後に下位チームと三地域社会人リーグ1・2位と入れ替え戦を行う。
 正式名称『トップリーグ』は平成14年(2002)11月15日の日本協会理事会で決定された。記念すべきトップリーグのオープニングゲームは平成15年(2003)9月13日、国立競技場に3万5000人の観客を集めて行われ、サントリーが54−31で神戸製鋼を下した。
 こうしてスタートした『トップリーグ』は世界のトップレベルの選手も加入し、チーム数の増加、自動降格など入れ替え形式の工夫を加え、激しくおもしろいラグビーを展開し、年ごとに充実・発展を続けて人気が高まっている。かくしてトップリーグは、マイクロソフトカップを経て、プレーオフで真のチャンピオンを決める方式に移行した。
 平成22年(2010)度、8シーズン目のチャンピオンは三洋電機。今秋に迫った第7回RWC(NZ大会)の舞台で、トップリーグで鍛えられた日本代表選手たちがどんなプレーを見せてくれるのか。

トップリーグにおける優勝チーム
年度 リーグ戦優勝チーム トーナメント優勝チーム 備考
1 2003年度 神戸製鋼コベルコスティーラーズ NECグリーンロケッツ マイクロソフト杯
2 2004年度 東芝府中ブレイブルーパス 東芝府中ブレイブルーパス マイクロソフト杯
3 2005年度 東芝府中ブレイブルーパス 東芝府中ブレイブルーパス マイクロソフト杯
4 2006年度 東芝ブレイブルーパス 東芝ブレイブルーパス マイクロソフト杯
5 2007年度 三洋電機ワイルドナイツ サントリー サンゴリアス マイクロソフト杯
6 2008年度 東芝ブレイブルーパス 東芝ブレイブルーパス マイクロソフト杯
7 2009年度 三洋電機ワイルドナイツ 東芝ブレイブルーパス プレーオフ・トーナメント
8 2010年度 東芝ブレイブルーパス 三洋電機ワイルドナイツ プレーオフ・トーナメント
9 2011年度 サントリー サンゴリアス サントリー サンゴリアス プレーオフ・トーナメント
10 2012年度 サントリー サンゴリアス サントリー サンゴリアス プレーオフ・トーナメント
11 2013年度 パナソニック ワイルドナイツ パナソニック ワイルドナイツ プレーオフ・トーナメント
12 2014年度 神戸製鋼コベルコスティーラーズ パナソニック ワイルドナイツ プレーオフ・トーナメント
13 2015年度 リーグ戦決着なし パナソニック ワイルドナイツ 順位決定トーナメント
14 2016年度 サントリー サンゴリアス サントリー サンゴリアス) 日本選手権となる
15 2017年度 リーグ戦決着なし サントリー サンゴリアス) 日本選手権となる
16 2018年度 リーグ戦決着なし 神戸製鋼コベルコスティーラーズ) 日本選手権となる
17 2019年度 新型コロナにより途中で中止 新型コロナにより中止 日本選手権も中止
18 2020年度 リーグ戦決着なし パナソニック ワイルドナイツ) 日本選手権となる

リーグ戦優勝回数 トーナメント優勝回数 備考
東芝ブレイブルーパス 5回 東芝ブレイブルーパス 5回
三洋・パナソニックWK 3回 サントリー サンゴリアス 5回 日本選手権2回含む
サントリー サンゴリアス 3回 三洋・パナソニックWK 5回 日本選手権1回含む
神戸製鋼コベルコ S 2回 NECグリーンロケッツ 1回
神戸製鋼コベルコS 1回 日本選手権1回含む

【マイクロソフトカップ】
第1回  平成16年(2004)2.22 ○NECグリーンロケッツ 24−19 ●東芝ブレイブルーパス 国立競技場 下井真介
第2回  平成17年(2005)2.6 ○東芝府中ブレイブルーパス 20−6 ●ヤマハ発動機ジュビロ 秩父宮ラグビー場 下井真介
第3回  平成18年(2006)2.5 ○東芝府中ブレイブルーパス 33−18 ●サントリーサンゴリアス 秩父宮ラグビー場 岩下眞一
第4回  平成19年(2007)2.4 ○東芝ブレイブルーパス※ 14−13 ●サントリーサンゴリアス 秩父宮ラグビー場 岩下眞一
第5回  平成20年(2008)2.24 ○サントリーサンゴリアス 14−10 ●三洋電機ワイルドナイツ 秩父宮ラグビー場 ジョージ・エイユー
第6回  平成21年(2009)2.8 ○東芝ブレイブルーパス 17−6 ●三洋電機ワイルドナイツ 秩父宮ラグビー場 相田真治
【トップリーグプレーオフ】
第7回  平成22年(2010)1.31 ○東芝ブレイブルーパス 6−0 ●三洋電機ワイルドナイツ 秩父宮ラグビー場 相田真治
第8回  平成23年(2011)1.30 ○三洋電機ワイルドナイツ 28−23 ●サントリーサンゴリアス 秩父宮ラグビー場 相田真治
第9回  平成24年(2012)2.26○サントリーサンゴリアス47-28 ●三洋電機ワイルドナイツ
第10回 平成25年(2013)1.27○サントリーサンゴリアス19- 3 ●東芝ブレイブルーパス 秩父宮ラグビー場 平林泰三
第11回 平成26年(2014)2.11○パナソニックワイルドナイツ45-22 ●サントリーサンゴリアス 秩父宮ラグビー場 麻生彰久
第12回 平成27年(2015)2.1 ○パナソニックワイルドナイツ30-12 ●ヤマハ発動機ジュビロ  秩父宮ラグビー場 麻生彰久
【トップリーグ順位決定トーナメント】
第13回 平成28年(2016)1.24○パナソニックワイルドナイツ27-26 ●東芝ブレイブルーパス  秩父宮ラグビー場  戸田京介
注)1.平成29年(2017)は日程の都合上、実施されず、リーグ戦のみで順位を決め日本選手権へ繋げた。
  2.平成30年(2018)は日程の都合上、日本選手権が兼ねることとなった。
東芝ブレイブルーパスに名称変更