令和6年(2024) リーグワン プレーオフトーナメント決勝

写真
令和6年(2024)5月26日 G:国立競技場 R:滑川剛人
東芝ブレイブルーパス東京 24-20 埼玉パナソニックワイルドナイツ

リーグ戦無敗の王者ワイルドナイツ、ブレイブルーパスに敗れる!

対戦日 2024/05/26 (日) Kick off 15:07
競技場 国立競技場 観客数 56,486人
天候 晴れ/弱風 グラウンド
状態
良い
ドクター MED-M:三森教雄 MDD:長谷川淳、大岩晋
記録係 プレーオフ
レフリー 滑川剛人(日本協会A) sign
アシスタントレフリー

古瀬健樹 (日本協会A)

山本篤志 (日本協会A)

土屋有司、松下武司

マッチコミッショナー 山縣真平 sign
TMO TMO:川原佑 FPRO:関谷惇大
サイティングコミッショナー CC:小野塚隆 
タイムキーパー 会田彰
埼玉パナソニックワイルドナイツ
# Name(cm/kg/Age) Pos.
1 ダニエル・ペレズ(185/108/27) PR
2 坂手淳史(180/104/30) HO
3 藤井大喜(183/114/26) PR
4 ジャック・コーネルセン(195/110/29) LO
5 ルード・デヤハー(206/127/31) LO
6 ベン・ガンター(195/120/26) FL
7 ラクラン・ボーシェー(191/104/29) FL
8 福井翔大(186/101/24) NO8
9 小山大輝(171/74/29) SH
10 松田力也(181/92/30) SO
11 マリカ・コロインベテ(182/96/31) WTB
12 ダミアン・デアレンデ(190/105/32) CTB
13 ディラン・ライリー(187/102/27) CTB
14 竹山晃暉(175/87/27) WTB
15 山沢拓也(176/84/29) FB
16 堀江翔太(180/104/38) Re.
17 クレイグ・ミラー(186/116/33)
18 ヴァルアサエリ愛(187/115/35)
19 エセイ・ハアンガナ(198/120/25)
20 マーク・アボット(197/112/34)
21 内田啓介(179/86/32)
22 長田智希(179/90/24)
23 山沢京平(176/84/25)

※背番号の白抜きはキャプテン

東芝ブレイブルーパス東京
# Name(cm/kg/Age) Pos.
1 木村星南(175/105/24) PR
2 原田衛(175/101/25) HO
3 小鍜治悠太(176/109/25) PR
4 ワーナー・ディアンズ(201/117/22) LO
5 ジェイコブ・ピアス(201/106/26) LO
6 シャノン・フリゼル(195/114/30) FL
7 佐々木剛(180/101/27) FL
8 リーチマイケル(189/113/35) NO8
9 杉山優平(169/76/26) SH
10 リッチー・モウンガ(176/83/30) SO
11 桑山淳生(183/90/26) WTB
12 ニコラス・マクカラン(188/93/27) CTB
13 マイケル・コリンズ(187/94/30) CTB
14 ジョネ・ナイカブラ(177/95/30) WTB
15 松永拓朗(172/81/25) FB
16 橋本大吾(174/105/30) Re.
17 三上正貴(178/111/35)
18 眞壁照男(172/110/28)
19 アニセサムエラ(198/118/37)
20 徳永祥尭(185/100/32)
21 高橋昴平(167/79/28)
22 眞野泰地(172/88/26)
23 森勇登(174/82/25)
得点
Host Visitor
前半 後半 前半 後半
0 2 T 1 2
0 2 G 1 2
0 0 PT 0 0
2 0 PG 1 0
0 0 DG 0 0
6 14 10 14
20 合計 24
プレーヤー・オブ・ザ・マッチ
BL東京(14)ジョネ・ナイカブラ
反則
PK FK PK FK
6 0 前半 4 0
2 0 後半 7 0
8 0 合計 11 0

Host 交替/入替

種類 時間 背番号
入替 前半37分 5 → 19
入替 後半0分 1 → 17
入替 後半0分 2 → 16
入替 後半0分 3 → 18
入替 後半29分 14 → 22
入替 後半40分 9 → 21

Host 一時交替

時間 背番号 内容

Visitor 交替/入替

種類 時間 背番号
入替 後半11分 3 → 18
入替 後半24分 5 → 19
入替 後半24分 12 → 22
入替 後半27分 1 → 17
入替 後半27分 2 → 16
入替 後半30分 11 → 23
入替 後半30分 7 → 20

Visitor 一時交替

時間 背番号 内容

Host カード/処分

種類 時間 背番号 内容
イエロー 前半38分 11 危険なプレー

Visitor カード/処分

種類 時間 背番号 内容

得点経過 前半Kick off : 東芝ブレイブルーパス東京 / 後半Kick off : 埼玉パナソニックワイルドナイツ

前半 チーム名 #.Name H V
5分 埼玉WK 10.松田力也 PG 3 - 0
20分 埼玉WK 10.松田力也 PG 6 - 0
27分 BL東京 14.ジョネ・ナイカブラ T 6 - 5
28分 BL東京 10.リッチー・モウンガ G 6 - 7
35分 BL東京 10.リッチー・モウンガ PG 6 - 10
後半 チーム名 #.Name H V
5分 BL東京 14.ジョネ・ナイカブラ T 6 - 15
6分 BL東京 10.リッチー・モウンガ G 6 - 17
後半 チーム名 #.Name H V
21分 BL東京 10.リッチー・モウンガ PGx 6 - 17
23分 埼玉WK 6.ベン・ガンター T 11 - 17
24分 埼玉WK 10.松田力也 G 13 - 17
28分 埼玉WK 9.小山大輝 T 18 - 17
30分 埼玉WK 10.松田力也 G 20 - 17
34分 BL東京 23.森勇登 T 20 - 22
34分 BL東京 10.リッチー・モウンガ G 20 - 24

<特記事項>
【TMO】
前半3分埼玉WK(9)トライ確認⇒結果ノートライBL東京インゴールドロップアウトで再開
後半34分BL東京トライ前にタッチラインを割ったかどうか、その後スローフォワードがあったかどうかの確認⇒結果BL東京(23)トライ
後半40分埼玉WKトライ前のスローフォワードの有無について⇒結果スローフォワードのためトライキャンセル、BL東京のスクラムで再開
【TMO/OFR】
前半39分埼玉WK(11)の危険なプレーの有無について⇒結果ハイタックルの判定(YC)BL東京PKで再開
レフリーの指示によりTMOで検証後RCにアップグレードなし
【シンビン理由】
前半39分埼玉WK(11)の危険なプレーはハイタックル

最終更新日: 2024/05/26 (日)17:58


 昨年決勝でクボタに敗れた悔しさを胸に盤石の強さでリーグ戦を全勝したワイルドナイツ。誰もが王者ワイルドナイツの勝利が順当と予想していたはずだ。只、前半は相手にラグビーをさせて接戦となっても、それを落ち着いて受け止めて分析し、後半は相手を圧倒してきたワイルドナイツが、プレーオフトーナメント準決勝のイーグルス戦では、リーグ戦で圧倒してきたイーグルスの執ような連続攻撃を受けた際に、当日の暑さも手伝ってか、自慢のFW陣に疲れが見られたのが少し気になった。

 56,486人の大観衆が見守る中、ブレイブルーパスのキックオフで試合が始まる。ワイルドナイツWTB竹山の好キックで東芝陣に入ると、ワイルドナイツは珍しくスタート時からエンジン全開で攻勢に出てブレイブルーパスのゴール前に迫る。リーチ主将が、「今日はタックル!」と言っていたのだが、ブレイブルーパスは全員で執念のタックルを繰り返し、ワイルドナイツにゴールを割らせない。5分、22m中央のPKを得ると、ワイルドナイツは10番松田が難なく決め予想通り先制した(B 0-3 W)。7分、ブレイブルーパス10番モウンガのチップキック後、攻守が目まぐるしく入れ替わるが、最後はブレイブルーパスがチャンスを作り、7番佐々木が自慢の快足を活かしてライン際を快走するが、ワイルドナイツは懐の深いDFを見せ、動じない。11分、再びブレイブルーパスG前に迫ったワイルドナイツは10番松田から15番山沢にパスが渡りインゴールへ飛び込むと思われたが、ブレイブルーパス8番リーチが執念のタックルでグラウンディングを許さず、ゴールラインドロップアウトとなる。両チームの好DFで膠着状態が続くが、20分ブレイブルーパスのオフサイドで得た中央10mライン近辺のPGを10番松田が確実に決める(B 0-6 W)。緊迫した試合にもかかわらず両チームともにダイナミックなアタックを仕掛け、そのたびに大観衆がわく。そして27分、今度はワイルドナイツゴール前に迫ったブレイブルーパス。スクラムから9番杉山が右へ12番マクカラン、15番松永と繋ぎ、横に引っ張った松永に対して、縦に入った14番ナイカブラが強靭さを見せ3人のDFに捕まりながらゴールライン上にねじ込みトライ(モウンガG成功でB 7-6 W)。その後も膠着状態が続く中、35分ブレイブルーパス10番モウンガがPGを蹴り込む(B 10-6 W)。終了間際、ブレイブルーパスが中盤の果敢なアタックから右へ展開し10番モウンガがワン・タイミング持ってDFラインの裏で15番松永にパスを通し、14番ナイカブラがフリーで激走。ワイルドナイツ11番コロインベテが追走しスピード勝負となる。慌てたコロインベテはナイカブラの襟をつかんでしまい、イエローカードとなる。この反則がなくてもトライにはならなかったとの判断から認定トライにはならない。この後ワイルドナイツはブレイブルーパスのラインアウト・モール、FWのサイドアタックなどの猛攻を凌いで前半終了(B 10-6 W)。

 後半も両チームのアグレッシブ・アタックが続く。5分、ブレイブルーパス10番モウンガの好キックが50-22となる。右22mのラインアウトの球出しは乱れたが、9番杉山からパスを渡された14番ナイカブラが好判断でタッチライン際のブラインド・スペースを走り抜け、バックアップをスピードで振り切って右隅にトライ(モウンガG成功で(B 17-6 W)。勝敗の流れが大きくブレイブルーパス側に傾き、ブレイブルーパスの攻勢がしばらく続いたが、21分、確実に点差を広げようとPGを狙ったプレイブルーパス10番モウンガのPGが外れてから様相が一変する。23分ワイルドナイツがカウンター攻撃から10番松田のチップキックを追走した14番竹山がさらにボールをブレイブルーパスのゴール前に蹴り込む。15番松永が辛うじてセーブするも、ワイルドナイツ6番ガンターがジャッカルを試み、ボールをもぎ取ってそのままインゴールへダイブした(松田のG成功でB 17-13 W)。ここから、いつものワイルドナイツらしく一気に攻勢に出る。28分、15番山沢のチップキックを何とか確保したコロインベテが左サイドを独走。ブレイブルーパスのナイカブラにゴール直前で捕まるも、ラックサイドに走り込んだ9番小山に15番山沢がボールを浮かし、インゴールへダイブしワイルドナイツが逆転した(松田のG成功でB 17-20 W)。とうとう、いつものワイルドナイツの流れに持ち込んだかのように思われたが、この日のブレイブルーパスで試合を諦める選手は一人もいなかった。34分攻勢に出たブレイブルーパスは連続攻撃を仕掛け13フェーズの後、右へ展開。交替でWTBに入った23番森がラインに入り、右へ見事な飛ばしパスを放った。パスを受けた15番松永がタックルを受け、タッチラインに押し出される寸前にリターンパスをナイカブラに通した。それをフォローした23番森がフリーとなって独走しゴールポスト裏へ回り込み再逆転した(モウンガのG成功でB 24-20 W)。しかしまだドラマは終わらなかった。試合終了直前にワイルドナイツは最後の執念を見せてボールを繋ぎまくり右へ左へと揺さぶりをかけ、プレイブルーパスの猛タックルを受けながらも16フェーズを重ねた。最後の右オープンで15番山沢が思い切り外へ引っ張り、途中交代で右WTBに入った22番長田がクロスで見事に縦を突き、ブレイブルーパスのタックルを飛び越えて外しポスト裏へ走り込んだ。「さすがワイルドナイツ!最後はやはりこうなるのか!」と誰もが思ったはずだ。ブレイブルーパスのフィフティーンも負けを覚悟したかのように見えたが、その時、TMOから主審にコールが入った。フェーズ3つ前の16番堀江から11番コロインベテへのパスがスロー・フォワードではないかとのこと。慎重に映像を確認した結果、スロー・フォワードの判定が下され、ブレイブルーパスボールのスクラムで再開となった。この時、フルタイムのブザーは既に鳴っており、ブレイブルーパスがスクラムからのボールを蹴り出せば笛が吹かれるはずだった。しかし、この日で引退を決めていた16番堀江を中心にワイルドナイツが猛烈なプッシュをかけブレイブルーパスの反則を誘う。PKを得たワイルドナイツ10番松田のタッチキックが慎重すぎる余りあまり深くへは蹴り込めない。そしてワイルドナイツボールのラインアウトが乱れ、21番内田からボールを貰ったコロンイベテが縦に突進する。そこからワイルドナイツの連続攻撃が始まるものと思われた。しかしこの日抜群の切れ味を見せるブレイブルーパス14番ナイカブラが倒れたコロインベテの上からジャッカルを試み、これが見事に成功しノットリリースザボールの反則を得る。勝利を確信したブレイブルーパス・フィフティーンは、この時点で喜びを爆発させる。このPKをタップキックからモウンガが蹴り出し最高の決勝戦は終わった。

 長らくワイルドナイツだけでなく日本代表を支えてくれたワイルドナイツ16番堀江の引退試合でもあり、花道を飾らせてあげたいと思った。また日本ラグビーを15年以上支えてきたにもかかわらず、優勝経験が一度もないブレイブルーパス主将リーチに優勝させたいとも思った。

 ワイルドナイツはいつも通り、後半にとどめを刺す見事なラグビーをした(結果は紙一重で成し得なかったのだが)。只、この日のブレイブルーパスはリーチ主将を中心に全員で良くタックルをし(FW前5人のタックルは本当に凄かった)14年ぶりの優勝を勝ち取った。

 56,486人のリーグワン最多の大観衆もラグビーフットボールの素晴らしさを肌で感じ、満足していただけたのではないかと思う。