令和7年(2025) リーグワン プレーオフトーナメント決勝

写真
令和7年(2025)6月1日 G:国立競技場 R:滑川剛人
東芝ブレイブルーパス東京 18-13 クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

ブレイブルーパス、激戦を制しリーグワン初の連覇達成!

対戦日 2025/06/01 (日) Kick off 15:07
競技場 国立競技場 観客数 51,009人
天候 晴れのちくもり/微風 グラウンド
状態
良い
ドクター MED-M:三森教雄/MDD:田澤和雅・山口徹
記録係 プレーオフ
レフリー 古瀬健樹(日本協会A) sign
アシスタントレフリー

滑川剛人 (日本協会A)

関谷惇大 (日本協会A)

土屋有司・嵯峨慶二(関東協会)

マッチコミッショナー 飯島康弘 sign
TMO TMO:川原佑/FPRO:手束伊吹
サイティングコミッショナー 小野塚隆
タイムキーパー 西山正樹
東芝ブレイブルーパス東京
# Name(cm/kg/Age) Pos.
1 木村星南(175/105/25) PR
2 原田衛(175/101/26) HO
3 タウファ・ラトゥ(183/120/27) PR
4 ジェイコブ・ピアス(201/106/27) LO
5 ワーナー・ディアンズ(201/117/23) LO
6 シャノン・フリゼル(195/114/31) FL
7 佐々木剛(180/101/28) FL
8 リーチマイケル(189/113/36) NO8
9 杉山優平(169/76/27) SH
10 リッチー・モウンガ(176/83/31) SO
11 森勇登(174/82/26) WTB
12 眞野泰地(172/88/28) CTB
13 ロブ・トンプソン(184/103/33) CTB
14 マイケル・コリンズ(187/94/31) WTB
15 松永拓朗(172/81/26) FB
16 橋本大吾(174/105/31) Re.
17 眞壁照男(172/110/29)
18 小鍜治悠太(176/109/26)
19 アニセサムエラ(198/118/38)
20 伊藤鐘平(190/105/28)
21 小川高廣(170/77/34)
22 桑山聖生(184/95/28)
23 豊島翔平(175/87/36)

※背番号の白抜きはキャプテン

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
# Name(cm/kg/Age) Pos.
1 紙森陽太(172/105/26) PR
2 マルコム・マークス(189/117/30) HO
3 オペティ・ヘル(190/127/26) PR
4 ルアン・ボタ(205/120/33) LO
5 デーヴィッド・ブルブリング(199/113/35) LO
6 タイラー・ポール(195/111/30) FL
7 末永健雄(178/98/30) FL
8 ファウルア・マキシ(187/112/28) NO8
9 藤原忍(171/76/26) SH
10 バーナード・フォーリー(182/89/35) SO
11 根塚洸雅(173/82/26) WTB
12 立川理道(180/93/35) CTB
13 リカス・プレトリアス(193/104/26) CTB
14 ハラトア・ヴァイレア(187/105/26) WTB
15 押川敦治(175/87/26) FB
16 江良颯(170/106/23) Re.
17 海士広大(172/102/30)
18 為房慶次朗(180/108/23)
19 メルヴェ・オリヴィエ(194/108/22)
20 トゥパフィナウ(190/115/35)
21 ブリン・ホール(183/93/33)
22 山田響(174/82/24)
23 ピーター・ラピース・ラブスカフニ(189/106/36)
得点
Host Visitor
前半 後半 前半 後半
1 1 T 0 1
0 1 G 0 1
0 0 PT 0 0
1 1 PG 2 0
0 0 DG 0 0
8 10 6 7
18 合計 13
プレーヤー・オブ・ザ・マッチ
BL東京(10)リッチー・モウンガ
反則
PK FK PK FK
3 0 前半 3 1
5 1 後半 6 0
8 1 合計 9 1

Host 交替/入替

種類 時間 背番号
入替 後半4分 3 → 18
入替 後半10分 9 → 21
入替 後半25分 2 → 16
入替 後半33分 11 → 22
入替 後半38分 1 → 17

Host 一時交替

時間 背番号 内容

Visitor 交替/入替

種類 時間 背番号
交替 後半6分 4 → 19
入替 後半8分 1 → 17
入替 後半8分 3 → 18
入替 後半10分 6 → 20
入替 後半10分 7 → 23
入替 後半22分 15 → 22
入替 後半33分 2 → 16
入替 後半33分 9 → 21

Visitor 一時交替

時間 背番号 内容

Host カード/処分

種類 時間 背番号 内容

Visitor カード/処分

種類 時間 背番号 内容
イエロー 後半10分 14 不当なプレー

得点経過 前半Kick off : クボタスピアーズ船橋・東京ベイ / 後半Kick off : 東芝ブレイブルーパス東京

前半 チーム名 #.Name H V
8分 BL東京 10.リッチー・モウンガ T 5 - 0
9分 BL東京 10.リッチー・モウンガ Gx 5 - 0
17分 S東京ベイ 10.バーナード・フォーリー PG 5 - 3
22分 BL東京 10.リッチー・モウンガ PG 8 - 3
32分 S東京ベイ 10.バーナード・フォーリー PG 8 - 6
後半 チーム名 #.Name H V
7分 BL東京 11.森勇登 T 13 - 6
8分 BL東京 10.リッチー・モウンガ G 15 - 6
21分 BL東京 10.リッチー・モウンガ PG 18 - 6
32分 S東京ベイ 12.立川理道 T 18 - 11
33分 S東京ベイ 10.バーナード・フォーリー G 18 - 13

<特記事項>
【その他】BL東京(13)の選手はジャージ破損のため後半は25番を着用
【YC】後半10分 S東京ベイ(14)は不当なプレー(デリバレイトノックフォワード)
【TMO】後半17分:BL東京(13)ゴール前のスローフォワードの有無を確認。⇒スローフォワードが認められS東京ベイのスクラムで試合再開。

最終更新日: 2025/06/01 (日)17:16


 プレーオフトーナメントに進出できるのはこれまで4チームだったが、今年から6チームに増え、リーグ戦3位と6位のチームが、そして4位と5位のチームが準々決勝を行うことになった。リーグ戦4位の静岡ブルーレヴズ(以降は静岡BR)は、リーグ戦では1位の東芝ブレイブルーパス(以降は東芝BL)に連勝しており、トーナメント準決勝での東芝BLとの再戦を期待する声も多かった。ところが伝統あるリーグ戦5位のコベルコ神戸スティーラーズ(以降はK神戸S)はセットプレーを強化して、万全の静岡BR対策を講じ35-20で静岡BRに勝利したのだ。静岡BRの藤井HCも、「今日のK神戸Sは1枚も2枚も上手だった。」と脱帽した。もう一つの準々決勝では、3位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以降はクボタS東京)が6位の東京サントリーサンゴリアス(以降は東京SS)を圧倒してしまうのではと予想されたが、東京SSは気迫あふれるプレーでロースコアに持ち込み、前半を5-3とリードする。後半、クボタS東京にパワープレーで逆転されるも、最後まで食らいつき熱戦を演じた(15-20、クボタS東京が勝利)。この大激戦の準々決勝を勝ち抜いたK神戸SとクボタS東京は、休養十分で待ち構える東芝BLと埼玉パナソニックワイルドナイツ(以降は埼玉パナソニックWK)に圧倒されてしまうのではと思われたが、準々決勝を勝ち抜いた両チームには結束力と勢いがあった。K神戸Sは東芝BL自慢のアタックを執念のDFで封じ込め、前半を3-7で折り返す。後半は東芝BLにトライによる加点を刻まれたが、最後まで戦い抜く姿勢は立派であった(3-31)。そして王者埼玉パナソニックWK(過去2大会決勝で敗れるも実力はNO1と言われてきている)に挑むクボタS東京は、リーグ戦での対戦成績が2試合で大接戦と引分けという互角の実力を見せつけている。中盤までの接戦を後半に逆転するという埼玉パナソニックWKのペースのようにも見えたが、クボタS東京は常に得点で先行し、要所では強力スクラムで埼玉パナソニックWKを制圧し、主導権を手放さず、ギリギリの戦いをものにした(28-24)。

 そして迎えた決勝は、東芝BLとクボタS東京の対決となる。クボタS東京のスクラムのアドバンテージがどれぐらいあるのか。双方のゴールキックの成功率はどうかなど、勝敗予想は全くつかず、試合が終わった時点でどちらが勝っているかだというコメントが多く聞かれた。

 クボタS東京のキックオフを10番フォーリーが中央に高く蹴りあげる。それをクボタS東京8番主将のマキシが猛追し、22mライン付近でキャッチした東芝BL8番主将のリーチにビッグタックルを決め仰向けに倒す。クボタS東京は、この一連の流れで何らかの得点をしたかったが、東芝BLは統率の取れたチームDFでこれを凌ぐ。無失点で立て直した東芝BLは、その後は予想通りリーグNo1の攻撃力全開で攻め、クボタS東京はリーグNo1を誇る防御力で凌ぎ続ける。8分、東芝BLはクボタS東京のゴール前左5mのラインアウトを余裕でキャッチし、モールを押し込むと見せて右へ展開。12番眞野の縦突進でゴール前に迫り、8番リーチ、6番フリゼルのサイド攻撃でクボタS東京のDFを中央に集める。ラックから左へ振った東芝BLは10番モウンガが、自分のマークがFWであることを確認するや勝負に出る。完璧なスワーブでマークを抜き、ライン際で待つ11番森へのパスダミーを見せ、左隅へ飛び込む(モウンガG失敗で5-0)。その後も両チームの激しい攻防が続くが、17分、敵陣に入ったクボタS東京は、パワープレーの連続攻撃で東芝BLのオフフィートの反則を誘い、中央30mのPGを10番フォーリーが決める(5-3)。22分、東芝BLも連続攻撃で得たPG(中央22m)をモウンガが難なく決める(8-3)。32分、クボタS東京が攻勢に出て、2番マークス、3番ヘルなど重量級の縦突進で東芝の反則を誘い、10番フォーリーが中央37mのPGを返す(8-6)。まさに両チームともトーナメント決勝の戦い方を貫き、着実に得点を刻む。その後も、両チームの意地がぶつかり合う激しい攻防が続いたが、このロースコアのまま終了。後半、どちらが先制するかが注目される。

 後半開始早々、東芝BLはエンジン全開で連続攻撃を仕掛けクボタS東京のゴール前に迫る。そして5番ワーナーがインゴールへ持ち込むが、クボタS東京5番ブルブリングが体をねじ込みダウンボールを許さない。そして7分、自陣に戻された東芝は、自陣30m中央左のスクラムで狭い左サイドに10番モウンガ、11番森を立たせる。本来であれば、クボタS東京の10番フォーリーは東芝10番モウンガのマークにつくのだが、モウンガのマークを9番藤原に任せて、フォーリーは広い左サイドに立つ。この布陣を見抜き、東芝BL9番杉山はスクラムから狭い左サイドを仕掛け、相手9番藤原を引き付けて10番モウンガにパス。モウンガはクボタS東京のバックアップを振り切り快走。モウンガは敵陣22mライン付近まで走り、相手15番押川を引き付け、11番森へ見事なパス。フリーとなった森は快走しトライゾーンへ飛び込む(モウンガのG成功で15-6)。そして11分、東芝BLは敵陣ゴールに迫り、オフロードパスを交えた連続攻撃を仕掛け10番モウンガがトライゾーンへ飛び込む。これはTMO判定の結果、最後のひとつ前のパスがFWパスと判定されトライならず。そして後半21分、敵陣中央10mを超えたところでクボタS東京の反則を誘い、このPGを10番モウンガが難なく決める(18-6)。これで試合の大勢は決まるかに思えたが、クボタの執念が途切れることはなかった。ただ、東芝BLのDFの執念も凄かった。後半26分、クボタS東京は敵陣ゴール前左5mのラインアウトからモールを組み連続攻撃を仕掛ける。最後9番藤原がインゴールへ飛び込むが、東芝BLの10番モウンガが執念でダウンボールを許さない。さらに27分、左ゴール前のラインアウトからクボタS東京が重量FWの縦突進で連続攻撃を仕掛けるが、東芝BLの8番リーチの好タックルと4番ピアスのスティールでPKを獲得しピンチを凌ぐ。しかし32分、敵陣ゴール前5m中央左でPKを得たクボタS東京は、ラインアウト(モール)ではなく、チップキックから18番為房が突進しゴール前1mに迫る。FWの縦突進を繰り返して東芝BLのDFを中央に集め、最後は右に振って12番立川がインゴールへ飛び込む(フォーリーGで18-13)。点差は5点となり、クボタS東京の逆転の可能性が出てくる。東芝BLはガチガチに守りを固め、ボールをキープしてフルタイムを待つ。東芝BLのラックでクボタS東京は一か八かの賭けにでて重量FWが全員でラッシュをかける。残念ながらこれは反則となり、その後、終了のブザーを聞いた後、東芝BL10番モウンガがチップキックからタッチへ蹴り出し、東芝が初のリーグワン連覇を成し遂げた(18-13)。

 今年のリーグワンは、上位と下位の実力差がつまり、接戦となる好試合が増えた。その結果、リーグ戦無敗のチームはなかったのだが、その群雄割拠の中、伝統の愚直なプレーで、全員で走り、前へ出続け連覇を成し遂げた東芝BLのプレーは本当に素晴らしかった。

 ラグビーフットボールの競技の特性とも言えるのだが、NZ代表、南ア代表クラスの選手たちが全てを出し切って真剣にプレーを続ける姿には感謝しかない。彼らは決して感情的にはならず、無用なガッツポーズなども決してしない。当たり前のことのように激しく、もの凄いプレーを続ける。日本の選手たちも彼らに影響され、皆(特にFW前5人)、よく走り、低いタックルを繰り返す。今後もリーグワンにおける熱戦が、日本代表の強化につながり、ラグビー人気が着実に向上していくことに大いに期待する。