平成19年(2007)9月25日 ボルドー
ロスタイムに劇的ドロー
No.466★230 第6回ラグビーワールドカップ(フランス他)第4戦 | ||||||
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2007年9月25日 G:ボルドー R:ジョナサン・カプラン(SA) KO 18:00 | ||||||
日本代表 | 12 | - | 12 | カナダ代表 | ||
1 | 西浦 達吉(コカコーラW) | 5 | 前 | 0 | 1 | ロッド・スノー |
2 | 松原 裕司(神鋼) | 7 | 後 | 12 | 2 | パット・リアダン |
3 | 相馬 朋和(三洋電機) | 3 | ジョン・ティール | |||
4 | 大野 均(東芝) | 1 | T | 0 | 4 | マイク・ビュラク |
5 | ルーク・トンプソン(近鉄) | 0 | G | 0 | 5 | マイク・ジェームズ |
6 | ハレ・マキリ(サニックス) | 0 | PG | 0 | 6 | コリン・ユークス |
7 | フィリップ・オライリー(三洋電機) | 0 | DG | 0 | 7 | アダム・クリーバーガー |
C8 | 箕内 拓郎(NEC) | 8 | アーロン・カーペンター | |||
9 | 吉田 朋生(東芝) | 1 | T | 2 | C9 | モーガン・ウィリアムズ |
10 | ブライス・ロビンス(リコー) | 1 | G | 1 | 10 | ライアン・スミス |
11 | クリスチャン・ロアマヌ(埼玉工大) | 0 | PG | 0 | 11 | ジェームズ・プリチャード |
12 | 大西 将太郎(ヤマハ) | 0 | DG | 0 | 12 | デイブ・スパイサー |
13 | 今村 雄太(神鋼) | 13 | グレイグ・カルパン | |||
14 | 遠藤 幸佑(トヨタ) | 11 | 反 | 12 | 14 | ダニエル・ファンデルメルヴェ |
15 | 有賀 剛(サントリー) | 15 | マイク・パイク | |||
交代【日】山村亮(ヤマハ)③、ルアタンギ侍バツベイ(近鉄)④、小野澤宏時(サントリー)⑭、木曽一(ヤマハ)⑧、金喆元(近鉄)⑨、平浩二(サントリー)⑬ 【カ】D.プレッチ①、M.ウエブ⑧、S.フランクリン③、M.プレッチ②、J.メンサコーカー⑬、J.ジャクソン⑦ シンビン=リアダン(カ) | ||||||
得点:T遠藤、平、G大西 |
日本は最終戦に素晴らしい戦いを見せて、カナダと引き分けた。日本から観戦に訪れた大勢のファンだけでなく、深夜のテレビ観戦のファンまで感動の坩堝(るつぼ)に巻き込んでくれた。
前半12分、ラインアウトからの縦攻撃をフォローしたWTB遠藤が、タックルを振りきっての快走でトライして先行。カーワン体制になって確立した前へ出るディフェンスで、隙を見せずに5−0で折り返す。後半カナダに2つのトライを許し5−12と劣勢になったが、最後まであきらめない。ロスタイムのラストプレー、PKからトンプソンがモールを押し込み、SH金、FLマキリ、CTB平とつないだトライが生まれた。日本の祈りを乗せて大西が難しい同点ゴールを決め、12−12の価値ある引き分けに持ち込んだ。箕内がインゴールでカナダ選手のボールに絡んで、トライを阻んだプレーに代表される、勝利へのあくなき執着心が感動を呼んだ。
「後半32分に交代して、ベンチで引き分けを見届けたNo8箕内主将は『勝ちたかったが、最後はよく追いついてくれた』と目を細めた。2大会連続で主将を務めたが、次回11年大会については『現役を続けるし、呼んでくれれば代表でもプレーしたい。ただ年齢的に4年後は難しい』。“最後のW杯”という思いでノーサイドの笛を聞いた。カーワンHCは『今後は段階を踏んで成長していけばいい。強靭さと体力を高めることが成功につながるはず』と話した。4年後にW杯決勝トーナメント出場の夢を実現させるために、日本ラグビーは再スタートを切る。試合地ボルドーの地元紙シュドゥエストは『日は昇った』と、日本の歴史的引き分けを伝えた。『同点になったときにはスタジアム全体がハッピーな雰囲気に包まれた』と好意的に報道。英国の大手ニュースサイト、BBCスポーツも『ブレイブ(勇敢な)ブロッサムス』と桜の花がトレードマークの日本代表の戦いぶりを紹介。引き分けながら、海外メディアの報道では日本が主役だった」(いずれもサンスポ)。
評価はさまざまであり、勝てなかった悔しさはある。しかし私は、日本のラグビーが前進し、観客に感動を与える試合ができたことを心から喜び、選手およびコーチングスタッフに感謝している。引き分けではあるが、平のトライが生まれず、大西の同点ゴールが決まらなかったら、日本のラグビーは再び闇に包まれる。2015年、2019年のRWC招致に再び立ち上がった日本ラグビー界に光をともしてくれた。カナダという日本と同格の相手に対する引き分け戦だが、世界が注目する大舞台での価値ある試合として、私は日本代表のベストゲームのひとつに迷いなくこの試合を選んだ。