テストNo.275 アジア五カ国対抗2012 第2戦 UAE代表戦

平成24年(2012)5月5日 G:レベスタ R:ハリー・メイソン(シンガポール)

日本代表 106-3 UAE代表●

No.513★275 第13回IRBアジア五カ国対抗2012 第2戦 UAE代表戦
2012年5月5日 G:レベスタ R:ハリー・メイソン(シンガポール)
日本代表 106 3 UAE代表
1 畠山 健介(サントリー) 40 3 1 クリストファー・J・グリフィス
2 有田 隆平(コカ・コーラW) 66 0 2 ピーター・サンプソン
3 坪井 秀龍(中国電力) 3 ダン・ボートランド
4 大野  均(東芝) 6 T 0 4 グレッグ・トンプソン
5 真壁 伸弥(サントリー) 5 G 0 5 サイモン・オズボーン
6 望月 雄太(東芝) 0 PG 1 6 ブレット・ウィリアムズ
7 橋本 大輝(神鋼) 0 DG 0 7 デイヴィッド・マタシオ
8 佐々木 隆道(サントリー) C8 アリスター・トンプソン
9 藤井  淳(東芝) 10 T 0 9 パトリック・ヘガーティ
10 小野 晃征(サントリー) 8 G 0 10 マーレイ・ストラング
11 藤田 慶和(早大) 0 PG 0 11 スティーブ・スミス
12 立川 理道(クボタ) 0 DG 0 12 ジョナサン・オコーナー
13 仙波 智裕(東芝) 13 イマド・レヤル
C14 廣瀬 俊朗(東芝) 6 15 14 ショーン・ハーレー
15 五郎丸 歩(ヤマハ) 15 ティム・フレッチャー
交代【日】桑水流裕策(コカ・コーラW)⑦、内田啓介(筑波大)⑨、長江有祐(リコー)③、木津武士(神鋼)②、森川海斗(ホンダ)⑬、長友泰憲(サントリー)⑮、伊藤鐘史(神鋼)④ 【U】チャールズ・リリー②、グラハム・マーフィー③、ジョン・ファウルズ⑬、モハメド・アルスレイマン⑪、トリスタン・バーネット④、アントワーヌ・ヴェルタイユ⑨、ジョエル・ピカリ⑭  シンビン=ファウルズ(U)
得点:T大野、望月、藤田6、立川、仙波、五郎丸2、木津、桑水流2、森川 

 新生日本代表の国内初お目見えに加えて、「歴代の日本代表の中でも、最も若いチームのひとつ」(ジョーンズHC)という経験の少なさも影響し、キックオフからプレッシャーを受け、前節からの課題だったブレイクダウンで後手に回るシーンも見られた。

 どこかチグハグな感じだった立ち上がりの日本代表。重苦しい空気を一変させたのは、史上最年少日本代表WTBの物怖じしない、思い切りの良い走りだった。これから18歳と8ヵ月目を迎える藤田。開始5分、自陣深くでファーストタッチとなるボールを受けると、瞬時にギアをトップに入れ、雷光が一気に駆け抜けるかのごとくUAE選手を置き去りにして、相手ゴール前7-8mまで大きくゲインした。トライにはならなかったが、藤田の激走から生まれたラックからSH藤井淳-SO小野晃征-CTB立川理道とつないで、日本が先制する。「最初のラインブレイクは、WTBとしてはフィニッシュまで持って行ってもらいたい」。ジョーンズHCは真のインターナショナルプレーヤーになるための高いレベルでの注文を忘れなかったが、アジアの舞台では18歳の若者がすでに稀有なフィニッシャーであることを九州のファンが認識するまでに、そう時間はかからなかった。11分、日本代表は自陣から積極的に仕掛けてPR畠山健介などの突破で前進。ハーフウェイライン付近のラックからテンポよく藤井-小野-FB五郎丸歩とつなぎ、左タッチライン際を駆け上がってきた藤田にラストパス、藤田は日本代表史上最年少トライスコアラーとなった。「日本ラグビーに必要なスターになるポテンシャルは十分」(ジョーンズHC)。ファーストタッチでチームに勢いを与え、11分に代表初トライを奪っただけでなく、「エディーさんに『どんどんボールタッチしろ』と言われていたので、どんどん動いて運動量でアピールしようと思っていた」という思惑どおりに、後半は、さらに5トライを重ねた。「何よりも良かったのはチームワーク」(ジョーンズHC)。藤田の6トライ中5トライが後半に集中していたように、チーム全体も前半で出た課題をハーフタイム以降にうまく修正できた。カザフスタン戦からの課題だったブレイクダウンでのサポート、そしてアタックシェイプの精度で進歩が見られたのは明らかだろう。この日No8の佐々木隆道副将は「前半は2人目のサポートが良くても、3人目、4人目がスペースを取り過ぎたりして、ボールの上を守る選手がいなくなったり、9番のところにプレッシャーをかけられたりしていたのが、後半は修正できたし、前回よりは良かった」と、着実な成長に手応えを感じている様子だった。

 立川をインサイドCTBに入れ、ダブル指令塔的な要素を強めた布陣でアタックシェイプを維持していく点も、「だんだん形になってきた」(ジョーンズHC)と、カザフスタン戦よりも格段良くなった。立川は「最初は相手のディフェンスにハマった感じがあって、シェイプがうまく出せなかったけど、ゲーム中に修正できたのは良かった。ひとりひとりのリアクションを速くすれば、もっと良くなる」。前半、ややもたついた面があったものの、後半、課題を修正し、この先、チームがさらに成長していく可能性を十分に感じさせた。6トライを挙げた藤田や、「自分でも怖いくらい調子がいい」と難しい位置からのゴールキックを次々に入れ、計30点(2トライ、10ゴール)を記録した五郎丸副将など個々の選手の活躍が目立つ一方、「バックスリーで9個のトライを取ったが、それも内側の選手の働きで生まれたもの。何よりも良かったのはチームワーク」(ジョーンズHC)である点も心強い。

 後半から途中出場したFL桑水流裕策やCTB森川海斗の初キャップ組もノビノビと自らの特徴を生かしたプレーでチームに貢献。この日は6番を着けて先発したFL望月雄太が「カザフスタン戦では5分間しかプレーできなくて悔しい思いもあったし、前回の『6』がマイケル・リーチだったので、いろいろ燃えるところもあった」と話すように、チーム内で健全な競争が生まれているのもチームのベースアップにつながっている。「これからは僅差になる試合も多くなると思うので、競った時のゲーム・マネージメントなど、まだまだやるべき課題も多い。次の韓国戦でも頑張って結果を残して、日本のみなさんに、また喜んでもらいたい」(五郎丸)。ジャパンウェイの進化の歩みを進めるために、日本代表は「これからの1週間、今まで以上に激しい練習をして」(ジョーンズHC)次戦の韓国戦に臨む。