平成25年(2013)6月23日 G:秩父宮 R:グレッグ・ガーナー(ENG)
No.530★292 第8回IRBパシフィック・ネーションズカップ 第4戦 アメリカ代表戦 | ||||||
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2013年6月23日 G:秩父宮 R:グレッグ・ガーナー(ENG) | ||||||
日本代表 | 38 | - | 20 | アメリカ代表 | ||
1 | 三上 正貴(東芝) | 19 | 前 | 15 | 1 | ショーン・ピットマン |
2 | 堀江 翔太(パナソニック) | 19 | 後 | 5 | 2 | クリス・ビラー |
3 | 山下 裕史(神鋼) | 3 | エリック・フライ | |||
4 | 大野 均(東芝) | 3 | T | 2 | 4 | ブライアン・ドイル |
5 | 伊藤 鐘史(神鋼) | 2 | G | 1 | 5 | ルイス・スタンフィル |
6 | ヘンドリック・ツイ(サントリー) | 0 | PG | 1 | 6 | スコット・ラヴァラ |
7 | マイケル・ブロードハースト(リコー) | 0 | DG | 0 | 7 | ピーター・ドール |
8 | 菊谷 崇(トヨタ) | C8 | トッド・クレバー | |||
9 | 田中 史朗(パナソニック) | 3 | T | 1 | 9 | マイク・ペトリ |
10 | 立川 理道(クボタ) | 2 | G | 0 | 10 | トビー・レストランジ |
11 | 藤田 慶和(早大) | 0 | PG | 0 | 11 | ジェームズ・パターソン |
12 | クレイグ・ウィング(神鋼) | 0 | DG | 0 | 12 | アンドリュー・スニウラ |
13 | マレ・サウ(ヤマハ) | 13 | アダム・ジダル | |||
C14 | 廣瀬 俊朗(東芝) | 8 | 反 | 8 | 14 | ルーク・ヒューム |
15 | 五郎丸 歩(ヤマハ) | 15 | クリス・ワイルス | |||
交代【日】田村優(NEC)⑫、畠山健介(サントリー)③、真壁伸弥(サントリー)④、ジャスティン・アイブス⑤、長江有祐(リコー)①、日和佐篤(サントリー)⑨、木津武士(神鋼)②、今村雄太(神鋼)⑪ 【ア】キャメロン・ドラン⑦、ブレイン・スカリー⑪、ザック・フィノグリオ②、ロビー・ショー⑨、シーマス・ケリー⑫、フィル・ティール③、リアム・マーフィー⑤、ニック・ウォレス① | ||||||
得点:Tツイ、田中、藤田、マレ・サウ、廣瀬、ペナルティートライ、G五郎丸4 |
「アメリカはゲームの入りでフィジカルにくるので、試合の入りに気をつけたい。受けるのではなく、自分たちで仕掛けて、プレッシャーをかける。最初の10分間が重要」(NO8菊谷崇バイスキャプテン)。そのように立ち上がりにペースをつかむことが、ゲームプランのひとつだったが、日本代表は最高のスタートを切った。キックオフからアメリカ陣に攻め込む時間帯が多かった日本は、6分にラインアウトを起点に内側のスペースをしっかり攻めた後、HO堀江翔太→NO8菊谷崇→FB五郎丸歩バイスキャプテン→WTB藤田慶和と素早いパスをつなぎ、期待のWTB藤田が先制トライ。FB五郎丸のゴールも決まり、早くも7-0とリード。「チーム全員が良い感じでボールを回し、良い感じで呼べたのは良かった」(藤田)という若武者の先制トライで一気に勢いに乗るかと思われたが、その後の15分間はアメリカにペースを握られる展開。5分、20分とアメリカに2トライを奪われ、逆に5点のビハインド。それでも、「自分たちはアタッキングのチームなので、どんどん自分たちでデシジョン・メイキングして、ボールを空いたスペースに運びながら、全員でアタックしてトライ取れば良い」というWTB廣瀬俊朗キャプテンの言葉どおり、あくまでも攻める姿勢を貫き通し、再び流れを引き戻す。24分に「一番の強みのボールキャリーでチームに貢献できて嬉しい」と、CTBマレ・サウが相手DFを引きずったままトライし同点(12-12)。37分には「セットプレーが安定しているのが強み」と、FW最年長のLO大野均が胸を張るスクラムを起点にSH田中史朗、途中出場のPR畠山健介(前半35分山下裕史と交替)、HO堀江翔太などがしっかりゲインラインを超え、ラックサイドをFLヘンドリック・ツイが割って逆転。
「前半は良くなかった」(ジョーンズHC)と言いながらも、19-15とリードしてハーフタイムを迎えた。
後半3分CTBサウのブレイクの後、FB五郎丸のパスを受けたWTB廣瀬が飛び込んだのを皮切りに20分過ぎまでに3トライを重ねて最終スコアは38-20。後半2つ目のトライは「ペナルティを取れるくらいでないと、スクラムが強くなったとは言えない」と、スクラム担当のマルク・ダルマゾスポットコーチにハッパをかけられていたFW陣が、ゴール前でスクラムにこだわり続けて、奪ったペナルティトライ。そして、3つ目のトライは、「いま、日本代表がいい成績を残さないと日本ラグビーが終わってしまう」という危機感を持ち続けたSH田中が好判断でラックサイドをすり抜けたもの。そんな後半のトライの重ね方こそ、この春の日本代表の進化の象徴と言える。田中はスーパーラグビーに行って、本当にランニングフィットレベルが上がった。まわりを仕切ることにも長け、判断力、スキルレベルでは世界でも稀に見るレベルにある」(ジョーンズHC)。試合前、「最高の80分にしたい」と語った廣瀬キャプテンは「タイトなスケジュールの中、3連勝できたことは素直に嬉しい。地力がついたと感じた」と、コンディションも厳しく、内容的にも完璧ではない中で力強く勝ち切ったことに手応えを感じでいる様子だった。
「全体的には正しい方向に進んでいるが、もっと強く、もっと速く、もっとスキルフルにならなくてはいけない。オールブラックスは50試合のテストマッチで90%という信じられないような勝率を誇っている。我々もそこをターゲットにしていきたい」(ジョーンズHC)。目標の15年に世界のトップ10入りを引き寄せる、大きな成長を見せた、今春の日本代表。世界トップチームとの対戦が組まれることになりそうな、秋シーズンが待ちきれない。