テストNo.348 リポビタンDツアー2018 欧州ツアー2018 ロシア代表戦

English 写真 機関誌
平成30年(2018)11月24日 G:英キングスホルム・スタジアム R:ジェローム・ガルセス(FR)
日本代表 32-27 ロシア代表
No.587★348 リポビタンDツアー2018 欧州ツアー2018 ロシア代表
2018年11月24日 G:英キングスホルム・スタジアム R:ジェローム・ガルセス(FR)
日本代表32-27ロシア代表
1稲垣 啓太(パナソニック)10221ヴァレリー・モロゾフ
2坂手 淳史(パナソニック)2252スタニスラフ・セリスキー
3具  智元(ホンダ)3ウラジミール・ポドレゾフ
4姫野 和樹(トヨタ)1T14アンドレイ・オストリコフ
5ヴィンピー・ファンデルヴァルト(NTTドコモ)1G15アンドレイ・ガルブゾフ
C6リーチ マイケル(東芝)1PG56ヴィタリー・ジワトフ
7西川 征克(サントリー)0DG07タギール・ガジエフ
8ツイ ヘンドリック(サントリー)8ニキータ・ワビリン
9茂野 海人(トヨタ)3T19ヴァシリー・ドロフェエフ
10松田 力也(パナソニック)2G0C10ユーリ・クシナリョフ
11福岡 堅樹(パナソニック)1PG011ダニール・ポチハノフ
12中村 亮土(サントリー)0DG012ドミトリー・ゲラシモフ
13ラファエレ ティモシー(コカ・コーラ)13ウラジミール・オストロウシコ
14ロトアヘア アマナキ大洋(リコー)14ミハイル・ババエフ
15ウィリアム・トゥポウ(コカ・コーラ)15ヴァシリー・アルテミエフ
交代【日】流大(サントリー)⑨、田村優(キヤノン)⑭、中島イシレリ(神鋼)⑧、大戸裕矢(ヤマハ)⑤、三上正貴(東芝)①、梶村祐介(サントリー)⑫、堀越康介(サントリー)②、山下裕史(神鋼)③ 【ロ】アレクサンドル・イリイン⑤、ラミーリ・ガイシン⑩、エヴゲニー・マトベエフ②、セルゲイ・セキソフ①、アントン・シチェフ⑧、アントン・ドロズドフ③、ドミトリー・ペロフ⑨、セルゲイ・トリシン⑪  シンビン=西川(日)
得点:Tリーチ2、福岡、ツイ、G松田3、PG松田、田村

 開始早々のロシアの連続攻撃。日本はラックでノットロールアウェイの反則を犯し、先制のPGを許す。直後にロシアの近場の攻撃で反則し、3点を失った。日本が個々のタックルで対抗できる場面はあった。ただ、倒し切れずに体の重みを生かされると前進を許した。「フィジカルでちょっと食い込まれた。予想以上だった」とSH流大は言う。ロシアのパワーはブレイクダウンでも生かされた。倒れながらのプレーに寛容なガルセス主審の笛にも乗じて日本の球出しを妨害。タッチライン際で人手を掛けてボールを奪取した。想定外の戦いが続く中、日本には痛いミスも。FBウィリアム・トゥポウがハイパントを捕球。パスを送ったが、相手に読まれていた。パスカットでトライを献上し、点差は16点まで開いた。
 日本は前半23分、松田のPGでようやく初得点を挙げる。前半31分には連続攻撃でゴール前7mまで前進。相手のオフサイドを誘発した。ボールを持ち、主審のもとへ歩みよるリーチ マイケル。ショットと見せかけた後、タップキックして駆け出した。よそ見をしていた相手のタックルをかわし、インゴールへ。主将の機転で1トライを返した。
 ロシアが再び2PGを決め、12点差で迎えた後半の頭。日本が理想の形で先手を取った。ロシアがラックからパスを出した瞬間、WTB福岡堅樹が間合いを詰める。相手を倒すと、立ち上がってボールの上のスペースを制圧。ターンオーバーに成功した。カウンターでゴール前に迫ると。最後は福岡が大外を走ってトライ。前に出る守備と、互いの陣形が乱れたアンストラクチャーからの攻撃。目指す形が実ったトライだった。
 後半15分にはラックでジャッカルに来た相手をPR稲垣啓太らがきれいに倒す。ツイ ヘンドリックがボールを持ち上げ、ラックをまたいで前進。60mを走り切る。GKも決まり、24-22と逆転に成功した。
 ロシアが懐に忍ばせていた武器を出したのはその直後。自陣のラックからSOラミル・ガイシンが左に大きく蹴る。右足のアウトサイドにかけた技ありの一撃は大外の選手の胸へ。ゴール前まで進むとガイシンが今度は右へキック。弾んだ球をHOスタニスラフ・セルスキーが拾い、再逆転のトライを決めた。ロシアがこの日、こだわった2番目の柱がこの足技だった。正確なキックで陣取り合戦でも日本を圧倒。ガイシンの右足は来年の脅威になりそうだ。両軍の間を行き来した流れを最後につかんだのは日本の選手交代と、スクラムだった。
 後半20分にSO田村優が入ると、蹴り合いで互角以上に盛り返す。さらに相手ボールのスクラムで反則を獲得。「前半から行けると話していた。単純に押しただけ。」と稲垣は言うが、地力の差を感じさせる場面だった。タッチキックで敵陣に入ると、FL西川征克がジャッカルで反則を誘発。PGで再び追いつく。後半32分にはラインアウトからボールを左右に大きく動かすと、体力切れのロシアは対応できない。最後は田村が裏に転がすと、跳ねたボールをリーチがつかみ、決勝のトライとなった。
 思いがけない薄氷の勝利にも、ジェイミー・ジョセフHCは胸を張る。「1年前だと勝ち切れたか疑問。チームが成熟した証拠だ」。個々の選手の進歩をベースに、選手主導によるチーム作りが進化し、課題の克服につながってきている。