テストNo.349 リポビタンDチャレンジカップ パシフィックネーションズカップ2019日本ラウンド 第1戦

令和元年(2019)7月27日 G:釜石鵜住居復興スタジアム R:ルーク・ピアース(ENG)

日本代表 34-21 フィジー代表

No.588★349 リポビタンDチャレンジカップ パシフィックネーションズカップ2019日本ラウンド 第1戦
2019年7月27日 G:釜石鵜住居復興スタジアム R:ルーク・ピアース(ENG)
日本代表 34 21 フィジー代表
1 稲垣 啓太(パナソニック) 29 14 1 エロニ・マウイ
2 堀江 翔太(パナソニック) 5 7 2 サム・マタベシ
3 ヴァル・アサエリ愛(パナソニック) 3 マナサ・サウロ
4 ジェームス・ムーア(サニックス) 4 T 2 4 アルバート・トゥイスエ
5 トンプソン ルーク(近鉄) 3 G 2 5 レオネ・ナカラワ
6 姫野 和樹(トヨタ) 1 PG 0 C6 ドミニコ・ワンガニンブロトゥ
C7 ピーター・ラブスカフニ(クボタ) 0 DG 0 7 セミ・クナタニ
8 アマナキ・レレイ・マフィ(NTTcom) 8 ビリアメ・マタ
9 茂野 海人(トヨタ) 1 T 1 9 フランク・ロマニ
10 田村  優(キヤノン) 0 G 1 10 ベン・ボラボラ
11 福岡 堅樹(パナソニック) 0 PG 0 11 パトリック・オズボーン
12 中村 亮土(サントリー) 0 DG 0 12 レバニ・ボティア
13 ラファエレ ティモシー(神戸製鋼) 13 ワイセア・ナヤザレブ
14 松島 幸太郎(サントリー) 9 8 14 フィリポ・ナコシ
15 ウィリアム・トゥポウ(コカ・コーラ) 15 アリベレティ・ベイトカニ
交代【日】リーチ マイケル(東芝)⑦、流大(サントリー)⑨、レメキ ロマノラヴァ(ホンダ)⑪、ヴィンピー・ファンデルヴァルト(NTTドコモ)⑧、坂手淳史(パナソニック)②、木津悠輔③、松田力也(パナソニック)⑮、三浦昌悟(トヨタ)① 【フィ】レエロイ・アタリフォ③、アピ・ラトゥニヤラワ④、ペニ・ラバイ①、ジャレ・バトゥンブア⑭、ペゼり・ヤト⑧、メスラメ・ドロコト②、ジョシュ・マタベシ⑮、ヘンリー・セニロリ⑨  シンビン=フィリポ・ナコシ(フィ)
得点:T福岡、松島2、ラファエレ、姫野、G田村3、PG田村

 昨年11月には敵地でフランスを破った実力国のフィジーを、ジャパンは本物のテストマッチで破った。セットプレーからの簡潔な展開。連続攻撃。モール起点のサイド突破。タックル後の切り返し。どれをとっても文句なしの内容であった。失トライ3のうち2はモールドライブ。そこは課題として残ったが、世界屈指の攻撃力を誇るフィジーの自由を抑圧できた。これまでジャパンはノータッチキックを駆使し、崩れた攻防(アンストラクチャー)局面をあえて作るスタイルできたのだが、フィジーは、しばしば、キックされたボールをあっけなくトライへ変換するチームであり、この日のジャパンはキープを選んだ。

 開始8分、モールを押し、ペナルティをもらいアドバンテージ、あえてショートサイドを攻め、田村の左足による見事なショートパントを左WTB福岡がインゴールで抑え先生のトライをあげた。しかし12分。自陣深くのピンチをしのいだジャパンはキックを敵陣へ。フィジーは辛くもキープ、左へ展開すると、国技の7人制と同じ状況が生まれ、たちまち12番レヴァニ・ボティアがインゴールへ。失点により、この日の戦略「キープ」の正しさが明確になり、プランはますます着実に実行された。19分ゴール前セットより左を攻めラック、SH茂野のすぐ脇へ、シャドーから走りこんだ松島がゴールポスト下へダイブしトライ。23分には田村が右サイドへ飛ばしパス。マフィが突破を図ったところで堀江へオフロードパス。堀江は巧みにマークをひきつけ松島へ。松島も余裕でノーマークのラファエレへパスしトライへ結びつけた。

 29-14で後半開始。キックオフ後の左展開でパスが乱れ、13番ワイセア・ナイザレヴが拾ってトライかと思われた瞬間、ジャパン15番トゥポウがしがみつき左手で球を落とした。勝負の分かれ目は後半15分、フィジーはスクラムの圧とタックルでジャパンのエラーを誘い、得意のカウンター攻撃を仕掛ける。ここでもラファエレが、視界の外から「詰め」の猛タックル。落球を誘い、松島がサッカースキルを駆使してインゴールへ運び、仕留め切った。

 つながれていたら失トライ。つながせずに奪トライ。フィジーが流れをつかみかけて反抗の意欲を保持し、ジャパンの側にやや軽いパスミスなどの続いた時間帯に、あまりにも貴重な攻守の反転だった。

 34-14.実質の白黒は決した。「試合を通して、ストラクチャー、アンストラクチャーどちらもできることを証明できたと思う。」試合後の松島のこの一言が勝利の実相を物語った。

 「釜石の人々のためにも」(ジョセフHC)。チーム全員が意識し、惜しくも前半33分で退場したが、ゲーム主将のFL、ピーター・ラブスカフニのおそるべき献身は、それを具現化するものだった。