テストNo.356 ラグビーワールドカップ2019 プールA第4戦 スコットランド代表戦

English 写真 機関誌
令和元年(2019)10月13日 G:横浜国際総合競技場 R:ベン・オキーフ(NZ)
日本代表 28-21 スコットランド代表
No.595★356 ラグビーワールドカップ2019 プールA第4戦 スコットランド代表
2019年10月13日 G:横浜国際総合競技場 R:ベン・オキーフ(NZ)
日本代表28-21スコットランド代表
1稲垣 啓太(パナソニック)2171アラン・デル
2堀江 翔太(パナソニック)7142フレーザー・ブラウン
3具  智元(ホンダ)3ウィレム・ネル
4トンプソン ルーク(近鉄)3T14グラント・ギルクリスト
5ジェームス・ムーア(サニックス)3G15ジョニー・グレイ
C6リーチ マイケル(東芝)0PG06マグナス・ブラッドベリー
7ピーター・ラブスカフニ(クボタ)0DG07ジェーミー・リッチー
8姫野 和樹(トヨタ)8ブレード・トムソン
9流  大(サントリー)1T29グレイグ・レイドロー
10田村  優(キヤノン)1G210フィン・ラッセル
11福岡 堅樹(パナソニック)0PG011ダーシー・グレアム
12中村 亮土(サントリー)0DG012サム・ジョンソン
13ラファエレ ティモシー(神戸製鋼)13クリス・ハリス
14松島 幸太郎(サントリー)75(1)14トミー・シーモア
15ウィリアム・トゥポウ(コカ・コーラ)15スチュアート・ホッグ
交代【日】ヴァル・アサエリ愛(パナソニック)③、田中史明(パナソニック)⑨、山中亮平(神鋼)⑮、ヘル ウヴェ(ヤマハ)⑤、中島イシレリ(神鋼)①、ツイ ヘンドリック(サントリー)⑥、坂手淳史(パナソニック)②、松田力也(パナソニック)⑫ 【ス】ジョージ・ホーン⑨、ブレア・キングホーン⑭、スコット・カミングス④、スチュアート・マキーナリー②、ザンダー・フェーガソン③、ゴードン・リード①、ピート・ホーン⑪、ライアン・ウィルソン⑥
得点:T松島、稲垣、福岡2 G田村4

 日本はついに念願の決勝トーナメント進出を果たした。「生きているうちに、こんな日が来るとは。」と、多くのご年配のラグビー関係者が語った。
 試合の序盤、スコットランドのスカウティングの凄さを物語るように、日本の積極的な攻撃はことごとく封じられた。逆に前半6分、日本陣内に攻め込んだスコットランドはSOラッセルの左から右へのシフトによるランにより、あっさりとトライをあげた。勿論、レイドローのコンバージョンも決まり0-7。
 16分愚直に攻め続けた日本にようやくチャンスが来た。ラックから出たボールをCTBラファエレが、逆サイドから顔をのぞかせた松島を飛ばし、福岡へパス。福岡はみるみる加速、最後は足をはたかれバランスを崩したが、見事にオフロードパスをノーマークの松島へ送り楽々トライ。田村のコンバージョンも決まり7-7。これで日本も肩の力が抜けアタックに躍動感が出てきた。25分浅めの位置で田村からパスを受けた堀江が見事にターンして前進し、タックルを受けながらムーアへオフロードパス。ムーアもタックラーにあたりながら、トゥポウへオフロードパス。スチュアート・ホッグを内にかわし、これでトライかと思われたが、もう一人のタックルを受けた。バランスを崩しかけたが、フォローのタイミングを計る稲垣に丁寧にパスが渡り、ゴールポスト下に飛び込んだ。ゴール成功で14-7。38分、田村のPG不成功の後、FWが獲得したボールを左へ展開。姫野、ラファエレと渡り、後ろのスペースを見逃さなかったラファエレが縦にグラバーキック。スペースを快走した福岡が、2バウンド目に高く跳ねたボールを伸ばした右手で確保し、バックアップに来たFBスチュアート・ホッグに足をはたかれながら、外へかわしバランスを崩しながらもインゴールへ飛び込んだ。田村のゴール成功で21-7となり前半終了。
 後半最初の10分の攻防が重要と誰もが思い後半スタート。ここでビッグプレーが出る。4トライ以上を取って8点差をつけない限り、決勝トーナメント進出を絶たれるスコットランドは中盤で左へ展開。ラファエレがタックルして止めたマークの腕に、福岡が腕を差し込み、ボールを奪取。ノックオンかと思われた瞬間、こぼれたボールをノーバウンドで拾った福岡がスペースを快走。持ち前のスピードでディフェンダーを振り切り、インゴールへ飛び込んだ。
 田村のゴールも決まり28-7とした。4トライを取ったので、あとは相手を3トライいかに抑えるか、7点差以内に抑えれば日本の決勝トーナメント進出が決まる。ゆるむはずのない日本に対し、スコットランドの猛攻が始まる。中盤では飛ばしパスを使って大外で待つ大型WTBにスペースを走らせ、ゴール前では力自慢の大きなFWが縦突進を繰り返す。9分日本ゴール前で縦突進のフェーズを繰り返したのち3番のウィレム・ネルが強引に押し込みトライ。レイドローのゴールも決まり28-14。悪い流れを断ち切りたい日本であったが、スコットランドの勢いは収まらず、14分、ラックを連取した後、18番のザンダー・フェーガソンが日本のタックルをかわしインゴールへ飛び込み28-21。ここから残りの26分間に日本の見せた執念のタックルは本当に凄まじかった。交代で入った中島、ヴァル、ウヴェが豪快に縦突進し相手の疲労を誘い、坂手、ツイが執念のタックルでスコットランドの猛攻を止めた。また田中、松田、山中は冷静に状況判断をし、ゲームコントロールに徹した。スコットランドの猛攻に対し、愚直にダブルタックルを続ける日本の選手たちは本当に頼もしかった。最後の2分間弱も体を張ってボールを確保し続け、観客のカウントダウンの後、山中がタッチへ蹴りだし日本は予選プールを全勝1位で通過し、決勝トーナメント進出を決めた。
 日本の観衆たちの一体となった応援も本当に素晴らしく、日本の選手たちに大きな力を与えたことは間違いないであろう。