テストNo.368 リポビタンDチャレンジカップ2022 NZ代表戦

令和4年(2022)10月29日 G:国立競技場 R:ナイカ・アマシュケリ(ジョージア

日本代表 31-38 NZ代表

対戦日2022/10/29 (土) Kick off14:50
競技場国立競技場 観客数65,188人
天候晴れ/微風 グラウンド
状態
良い
ドクター万本 健生
記録係佐藤克則
レフリーニカ・アマシュケリ (GRU) sign
アシスタントレフリー

ジョーダン・ウェイ (RA)

グラハム・クーパー (RA)

河野海輝/古瀬健樹/滑川 剛人(日本協会

マッチコミッショナー宮崎 良平sign
日本代表
# Name(cm/kg/Age)
所属
Pos.
1 稲垣啓太(186/116/32)
埼玉パナソニックワイルドナイツ
FW
2 坂手淳史(180/104/29)
埼玉パナソニックワイルドナイツ
3 具智元(183/118/28)
コベルコ神戸スティーラーズ
4 ワーナー・ディアンズ(201/117/20)
5 ジャック・コーネルセン(195/110/28)
埼玉パナソニックワイルドナイツ
6 リーチマイケル(189/113/34)
7 姫野和樹(187/108/28)
トヨタヴェルブリッツ
8 テビタ・タタフ(183/124/26)
東京サントリーサンゴリアス
9 流大(166/75/30)
東京サントリーサンゴリアス
HB
10 山沢拓也(176/84/28)
埼玉パナソニックワイルドナイツ
11 シオサイア・フィフィタ(187/105/23)
花園近鉄ライナーズ
TB
12 中村亮土(181/92/31)
東京サントリーサンゴリアス
13 ディラン・ライリー(187/102/25)
埼玉パナソニックワイルドナイツ
14 松島幸太朗(178/88/29)
東京サントリーサンゴリアス
15 山中亮平(188/98/34)
コベルコ神戸スティーラーズ
FB
16 日野剛志(172/100/32)
静岡ブルーレヴズ
Re.
17 クレイグ・ミラー(186/116/32)
埼玉パナソニックワイルドナイツ
18 竹内柊平(183/115/24)
浦安D-Rocks
19 下川甲嗣(188/105/23)
東京サントリーサンゴリアス
20 ファウルア・マキシ(187/112/25)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
21 齋藤直人(165/73/25)
東京サントリーサンゴリアス
22 李承信(176/85/21)
コベルコ神戸スティーラーズ
23 ゲラード・ファンデンヒーファー(192/102/33)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

※背番号の白抜きはキャプテン

ニュージーランド代表
# Name(cm/kg/Age)
所属
Pos.
1 ジョージ・バウアー(183/115/30)
クルセイダーズ / Crusaders
FW
2 サミソニ・タウケイアホ(183/115/25)
チーフス / Chiefs
3 ネポ・ラウララ(184/116/30)
ブルーズ / Blues
4 ブロディー・レタリック(204/123/31)
チーフス / Chiefs
5 トゥポウ・ヴァアイ(198/118/22)
チーフス / Chiefs
6 シャノン・フリゼル(195/108/28)
ハイランダーズ / Highlanders
7 サム・ケイン(189/103/30)
チーフス / Chiefs
8 ホスキンス・ソトゥトゥ(192/106/24)
ブルーズ / Blues
9 フィンレー・クリスティー(177/82/27)
ブルーズ / Blues
HB
10 リッチー・モウンガ(176/83/28)
クルセイダーズ / Crusaders
11 ケイレブ・クラーク(184/107/23)
ブルーズ / Blues
TB
12 ロジャー・トゥイヴァサ=シェック(182/96/29)
ブルーズ / Blues
13 ブレイドン・エノー(187/94/25)
クルセイダーズ / Crusaders
14 セヴ・リース(179/87/25)
クルセイダーズ / Crusaders
15 スティーブン・ペロフェタ(181/85/25)
ブルーズ / Blues
FB
16 コディー・テーラー(183/108/31)
クルセイダーズ / Crusaders
Re.
17 オファ・トゥウンガファシ(195/122/30)
ブルーズ / Blues
18 ティレル・ロマックス(192/127/26)
ハリケーンズ / Hurricanes
19 パトリック・トゥイプロトゥ(198/120/29)
ブルーズ / Blues
20 ダルトン・パパリイ(193/113/25)
ブルーズ / Blues
21 アーロン・スミス(173/83/33)
ハイランダーズ / Highlanders
22 デービッド・ハヴィリ(184/88/27)
クルセイダーズ / Crusaders
23 アントン・レイナート=ブラウン(185/96/27)
チーフス / Chiefs
得点
HomeAway
前半後半前半後半
22 T 32
22 G 32
00 PT 00
10 PG 01
00 DG 00
1714 2117
31合計38
反則
PKFKPKFK
40 前半 20
80 後半 40
120 合計 60

Home 交替/入替

種類時間背番号
入替 後半8分 1 → 17
入替 後半9分 8 → 20
入替 後半9分 10 → 22
入替 後半17分 11 → 23
入替 後半22分 6 → 19
入替 後半22分 9 → 21
入替 後半32分 3 → 18

Home 一時交替

時間背番号内容

Away 交替/入替

種類時間背番号
入替 後半15分 1 → 17
入替 後半15分 2 → 16
入替 後半15分 3 → 18
入替 後半22分 13 → 23
入替 後半22分 9 → 21
入替 後半23分 6 → 19
入替 後半27分 8 → 20
入替 後半30分 12 → 22

Away 一時交替

時間背番号内容

Home カード/処分

種類時間背番号内容

Away カード/処分

種類時間背番号内容
レッド 後半26分 4 危険なプレー

得点経過 前半Kick off : 日本代表 /後半Kick off : ニュージーランド代表

前半チーム名#.Name
11分 ニュージーランド代表 4.ブロディー・レタリック T 0 - 5
12分 ニュージーランド代表 10.リッチー・モウンガ G 0 - 7
19分 日本代表 10.山沢拓也 PG 3 - 7
26分 ニュージーランド代表 13.ブレイドン・エノー T 3 - 12
27分 ニュージーランド代表 10.リッチー・モウンガ G 3 - 14
32分 ニュージーランド代表 14.セヴ・リース T 3 - 19
33分 ニュージーランド代表 10.リッチー・モウンガ G 3 - 21
37分 日本代表 10.山沢拓也 T 8 - 21
37分 日本代表 10.山沢拓也 G 10 - 21
40分 日本代表 9.流大 T 15 - 21
41分 日本代表 10.山沢拓也 G 17 - 21
後半チーム名#.Name
2分 ニュージーランド代表 11.ケイレブ・クラーク T 17 - 26
3分 ニュージーランド代表 10.リッチー・モウンガ G 17 - 28
16分 日本代表 4.ワーナー・ディアンズ T 22 - 28
18分 日本代表 22.李承信 G 24 - 28
21分 ニュージーランド代表 8.ホスキンス・ソトゥトゥ T 24 - 33
22分 ニュージーランド代表 10.リッチー・モウンガ G 24 - 35
39分 日本代表 7.姫野和樹 T 29 - 35
39分 日本代表 22.李承信 G 31 - 35
43分 ニュージーランド代表 10.リッチー・モウンガ PG 31 - 38

<特記事項>
【TMO判定】
・前半26分 ニュージーランド体表のトライ前にパスプレーでスローフォワードの有無についてTMO判定→パスプレーに問題なしと判定とニュージーランド代表(13)ブレイドン選手のトライを認定
・後半26分 ラックでのニュージーランド代表のコンタクトプレーにファールプレイの有無についてTMO判定→ニュージーランド代表(4)ブロディー選手の「危険なプレー」を確認しレッドカードを与えジャパンボールで試合再開
・後半40分 日本代表のトライについてのグランディングについてTMO判定→問題なしと判定し日本代表のトライを認定
【その他】
・前半24分 ウォーターブレイクの実施


 4年ぶりのNZ代表(オールブラックス)戦、国立競技場を埋めた65,188人も、TV視聴のラグビーファンも大きな胸の高鳴りを感じたことだろう。過去6戦全敗、100点ゲーム2回、失点が50点以下の試合はない。しかしここ数年、実力差は大幅に縮まりフィジカル、メンタル共にコンプレックスはなくなりつつある。試合前のオールブラックス伝統の迫力のハカを前にしても、日本代表主将の坂手、前主将のリーチは不敵な笑みを浮かべた。
 日本ボールのキックオフで、山沢が敵陣22mライン付近に真っすぐ高いボールを蹴った。先陣を切ったフィフィタがNZレシーバーに刺さり、リーチがサポート。その後もNZ代表をNZ陣内に押し込む日本の攻勢が続いた。フィジカルで優るNZに対して日本は練習で磨き上げたダブルタックルで応酬し相手の勢いを止める。NZは何回かの攻撃の後、やむを得ずモウンガがキックで地域挽回を図る。日本はラインアウトも整備され、リーチ、ワーナー、コーネルセンが確実にマイボールを確保する。前半6分、日本代表BKの連続攻撃でFWがラックを連取してNZ代表を左右に振り回し、左サイドで姫野のリターンパスを受けたタタフがフリーで独走。サポートした流に繋いだが、最後のサポートが一歩遅れ、NZのタックルを受けチャンスを失う。
 前半8分、日本のカウンター攻撃で山中のパスを受けたFWがノックオン。NZ代表はこのようなチャンスを決して逃さない。テンポよく展開して日本のゴール前へキック。只一人返った山沢が、デッドゴールラインに蹴りだしピンチを防ぐ。しかしNZボールの5mスクラムで再開。NZのNo8がサイドアタックでゴール前に迫ったがそこで落球、それをワーナーが拾って前へ出てラック、山中のタッチキックで日本陣10mまで挽回をした。しかし11分、再度攻勢に出たNZはラインアウトから左へ展開し、中央付近でFWが縦突進をしてラック。そのボールを右へ展開し、ループと見せて日本DFを幻惑し、ダブルタックルができない状況から、NZ2番タウケイアホがワーナーのタックルを外して一気に突進し、サポートしたフリーのレタリックが難なくトライした(モウンガのGも決まり0-7)。しかし日本代表は全く臆することなくダブルタックルを繰り返し、ボールを獲得した時には、全員で思い切った攻撃を仕掛ける。19分日本のアタックがNZの反則を誘い、22m中央のPGを山沢が難なく決めて3-7とした。21分、今度はNZが日本陣22m内、右ラインアウト後のモールから左へ展開。SOモウンガのチップキックを13番エノーが見事にキャッチしてインゴールへ走り込む。トライ確実と思われたその瞬間にバックアップの松島がタックル、2人目に入った山中と共にグランディングを許さず見事にトライセーブした。それでもNZの勢いは収まらず、26分日本ゴール前のNZの左展開で日本は1対1のタックルを着実に決めるも、NZの巧みなオフロードパスでボールは死なず、最後は13番エノーがフリーとなり、トライを決めた(モウンガのGも決まり3-14)。32分には、NZはハーフウェーライン右のラインアウトから、ロングボールを走り込んだ12番に投げ、12番はキャッチした瞬間に、内側に走り込んだ14番セブ・リースへパス。日本のDFは見事なサインプレーに切り裂かれ、易々とトライを許した(モウンガのG成功で3-21)。キックオフ再開後もNZの攻勢は続く。自陣22mからラックを連取してフェーズを重ね、日本陣の22mまで陣地を挽回。恐らくここでトライを許していたら、試合の行方が決まってしまう可能性もあった。只、鍛え上がられた日本代表はこの劣勢の中でも気持ちは緩まず、ケイレブ・クラークの突進の時、ずっとジャッカルのチャンスを狙っていた姫野がすかさずこのボールを奪取し、ここから日本のカウンターアタックが始まった。日本は自陣22m中央のラックから流、具、ワーナーと繋ぎ、ワーナーは力強く15m前進してラックとなり、その好球を流、山沢、山中、ライリーと見事な浅いラインでつなぎ、ライリーが敵陣へキック。NZの15番ペロフェタが落球したボールにライリー、山中が絡み、こぼれ球を山沢が見事なドリブルで前へ運び、最後はゴール前で浮いたボールをキャッチしてインゴールになだれ込みトライ(山沢のG成功で10-21)。キックオフ後、NZが反則を犯し、山沢のタッチキックで敵陣右に入った。そこから攻勢に出た日本は左に右にゆさぶりをかけ、39分、敵陣22m左のラックから流、坂手、稲垣と繋ぎラック。そのボールを流、中村、フィフィタと繋ぎ、フィフィタが裏へキックを試みるも、これがチャージされる。しかしその跳ね返されたボールを山沢が拾い、左の山中へパスし、山中は乱れたNZDFを引き付けて中村へパス、さらにライリーと渡り、ライリーが左ライン際を独走し、最後は内側をフォローした流にバックフリップのパスを送り、フリーとなった流がトライを挙げて(山沢のG成功で17-21)前半終了。日本代表は即ベンチに引き上げるのではなく、グランド内で円陣を組み後半への意思統一を図った。
 しかし後半開始早々NZは日本陣に入り全員攻撃を仕掛ける。後半2分日本陣10m内側のラックから1番が縦を突いてラック、そのボールを左へ展開し、サム・ケイン、シェック、ケイレブ・クラークと繋ぎ、クラークは日本2人のタックルを次々と跳ね飛ばして独走し、楽々トライを挙げた(モウンガのG成功で17-28)。8分、日本は自陣10m左のスクラムからブラインドWTBのフィフィタを右サイドへ動かして、流からダイレクトにパスを受け、縦に20m以上のゲインをしたが、フォローした松島へのパスがつながらずチャンスをつぶした。13分今度は攻勢に出たNZが日本のゴール前5mポストそばまで攻め入り、FWがサイド攻撃を繰り返したが、日本姫野の会心のジャッカルでピンチを防いだ。15分、NZが自陣10m中央付近のラックから、SHクリスティーがキックで地域挽回を図ろうとするが、オンサイドに戻ろうとしたマキシの陰から飛び出したワーナーがそのキックをチャージ。そのボールがワーナーの両手に収まりワーナーは40mを走り切ってトライし(李のG成功で24-28)、ワントライ(5点)以内に迫る。しかし20分、NZは日本陣のゴール前左10m付近のラインアウトからサイド攻撃を交え12番シェックが縦に突進し、その後、FWのサイド攻撃でラックを連取して日本ゴール前に迫り、最後はNo8ソトゥトゥが山中のタックルを受けた直後に、反転をしてタックルをかわしインゴールへ飛び込んだ(モウンガのG成功で24-35)。そして25分、日本陣中央22m付近でNZが持ち込んだボールに対して姫野がジャッカルを試みるが、そこにレタリックがノーバインドで頭からあたりに行ってしまった。TMOチェックの後レタリックにレッドカードが出されて退場となった(この試合後、数試合出場停止となることはNZ代表にとって大きな痛手であろう)。25分、日本はNZ陣左10mのラインアウトを遠投で李に投げ、それを齋藤、ファンデン、山中と繋ぎ、山中はライリーを飛ばして松島へパスを通し、快走した松島はNZ陣右22mを超えてラックを形成。このラックから日本は左へ振り、李からパスを受けたマキシが22m中央でラックを作り、このボールを齋藤が右のファンデンに飛ばしパス。ファンデンはマークを引き付けて松島を余らせ、ライン際を松島は快走した。しかしゴール前5mでバックアップしたレイナートブラウンに押し出される。なかなかチャンスをトライに結び付けられなかったが、ついに38分、NZ陣左5mのラインアウトからピールオフでマキシが突進してラック、そこから姫野、中村が縦に突進しNZゴール前に迫る。最後は姫野がDFの薄い左サイドに潜りトライを挙げた(李のGK成功で31-35)。まだ時間は残されており、勝利を目指す日本はNZのキックオフのボールを、自陣から果敢に攻める。しかし最後はノットリリース・ザ・ボールでペナルティとなり、万事休す。しかし通常だと、ちょん蹴りからタッチを切り試合を終わらせるのだが、NZはPGを狙いモウンガが決めてノーサイド(31-38)。ラグビー王国NZが、最後は点差にこだわったものと推測されるが、それは日本代表NZ代表を崖っぷちまで追い込んだことの証明だった。この日の65,188人の入場者は新国立競技場の新記録であり、またRWC2019日本大会を除く国内でのラグビー試合の最高入場者数となった。NZを追い込んだにもかかわらず、「勝てなかったので悔しい!」と語る日本代表の選手たちが頼もしく見えた。