テストNo.376 ラグビーワールドカップ 2023 フランス大会 プールD 第2戦 イングランド代表戦

令和5年(2023)9月18日 G:ニース(フランス) R:ニカ・アマシュケリ(ジョージア

日本代表 12-34 イングランド代表

対戦日2023/09/18 (月) Kick off04:00
競技場 Stade de Nice(ニース) 観客数--
天候晴れ/無風 グラウンド
状態
良い
ドクター
記録係JRFU広報室
レフリーNika Amashukeli (GRU)sign
アシスタントレフリー

Nic Berry (RA)

Andrea Piardi (FIR)

マッチコミッショナーsign
TMOJoy Neville (IRFU)
イングランド代表(RWC2023)
# Name(cm/kg/Age)
所属
Pos.
1 ジョー・マーラー(183/114/33)
Harlequins
FW
2 ジェーミー・ジョージ(183/114/32)
Saracens
3 カイル・シンクラー(183/120/30)
Bristol Bears
4 マロ・イトジェ(195/115/28)
Saracens
5 オリー・チェサム(200/118/23)
Leicester Tigers
6 コートニー・ローズ(201/115/34)
Northampton Saints
7 ベン・アール(186/102/25)
Saracens
8 ルイス・ラドラム(192/111/27)
Northampton Saints
9 アレックス・ミッチェル(180/81/26)
Northampton Saints
HB
10 ジョージ・フォード(187/86/30)
Sale Sharks
11 エリオット・デーリー(185/98/30)
Saracens
TB
12 マヌ・ツイランギ(185/111/32)
Sale Sharks
13 ジョー・マーチャント(183/89/27)
Stade Francais
14 ジョニー・メイ(188/90/33)
Gloucester Rugby
15 フレディ・スチュワード(196/105/22)
Leicester Tigers
FB
16 セオ・ダン(179/102/22)
Saracens
Re.
17 エリス・ゲンジ(186/117/28)
Bristol Bears
18 ウィル・スチュアート(188/132/27)
Bath Rugby
19 ジョージ・マーティン(198/118/22)
Leicester Tigers
20 ビリー・ブニポラ(191/128/30)
Saracens
21 ベン・ヤングズ(178/88/34)
Leicester Tigers
22 マーカス・スミス(175/82/24)
Harlequins
23 オリー・ローレンス(180/100/24)
Bath Rugby

※背番号の白抜きはキャプテン

日本代表
# Name(cm/kg/Age)
所属
Pos.
1 稲垣啓太(186/116/33)
埼玉パナソニックワイルドナイツ
FW
2 堀江翔太(180/104/37)
埼玉パナソニックワイルドナイツ
3 具智元(183/118/29)
コベルコ神戸スティーラーズ
4 ジャック・コーネルセン(195/110/28)
埼玉パナソニックワイルドナイツ
5 アマト・ファカタヴァ(195/118/28)
リコーブラックラムズ東京
6 リーチマイケル(189/113/34)
7 ピーター・ラブスカフニ(189/106/34)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
8 姫野和樹(187/108/29)
トヨタヴェルブリッツ
9 流大(166/75/31)
東京サントリーサンゴリアス
HB
10 松田力也(181/92/29)
埼玉パナソニックワイルドナイツ
11 ジョネ・ナイカブラ(177/95/29) TB
12 中村亮土(181/92/32)
東京サントリーサンゴリアス
13 長田智希(179/90/23)
埼玉パナソニックワイルドナイツ
14 松島幸太朗(178/88/30)
東京サントリーサンゴリアス
15 セミシ・マシレワ(181/93/31)
花園近鉄ライナーズ
FB
16 坂手淳史(180/104/30)
埼玉パナソニックワイルドナイツ
Re.
17 クレイグ・ミラー(186/116/32)
埼玉パナソニックワイルドナイツ
18 ヴァルアサエリ愛(187/115/34)
埼玉パナソニックワイルドナイツ
19 ワーナー・ディアンズ(201/117/21)
20 下川甲嗣(188/105/24)
東京サントリーサンゴリアス
21 齋藤直人(165/73/26)
東京サントリーサンゴリアス
22 ディラン・ライリー(187/102/26)
埼玉パナソニックワイルドナイツ
23 レメキロマノラヴァ(178/96/34)
NECグリーンロケッツ東葛
得点
HomeAway
前半後半前半後半
13 T 00
13 G 00
00 PT 00
20 PG 31
00 DG 00
1321 93
34合計12
マン・オブ・ザ・マッチ
ジョージ・フォード
反則
PKFKPKFK
32 前半 50
31 後半 10
63 合計 60

Home 交替/入替

種類時間背番号
入替 後半11分 3 → 18
入替 後半11分 8 → 20
入替 後半20分 1 → 17
入替 後半20分 9 → 21
入替 後半23分 6 → 19
入替 後半29分 15 → 22
入替 後半29分 12 → 23
入替 後半34分 5 → 19
入替 後半34分 19 → 6
入替 後半34分 2 → 16

Home 一時交替

時間背番号内容

Away 交替/入替

種類時間背番号
交替 前半7分 15 → 23
入替 後半0分 3 → 18
入替 後半10分 1 → 17
入替 後半10分 11 → 22
入替 後半22分 2 → 16
入替 後半22分 5 → 19
入替 後半25分 9 → 21
入替 後半34分 7 → 20

Away 一時交替

時間背番号内容

Home カード/処分

種類時間背番号内容

Away カード/処分

種類時間背番号内容

得点経過 前半Kick off : イングランド代表(RWC2023) /後半Kick off : 日本代表

前半チーム名#.Name
4分 イングランド代表(RWC2023) 10.ジョージ・フォード PG 3 - 0
15分 日本代表 10.松田力也 PG 3 - 3
23分 日本代表 10.松田力也 PG 3 - 6
24分 イングランド代表(RWC2023) 8.ルイス・ラドラム T 8 - 6
26分 イングランド代表(RWC2023) 10.ジョージ・フォード G 10 - 6
30分 イングランド代表(RWC2023) 10.ジョージ・フォード PGx 10 - 6
32分 日本代表 10.松田力也 PG 10 - 9
42分 イングランド代表(RWC2023) 10.ジョージ・フォード PG 13 - 9
後半チーム名#.Name
14分 日本代表 10.松田力也 PG 13 - 12
16分 イングランド代表(RWC2023) 6.コートニー・ローズ T 18 - 12
16分 イングランド代表(RWC2023) 10.ジョージ・フォード G 20 - 12
26分 イングランド代表(RWC2023) 15.フレディ・スチュワード T 25 - 12
27分 イングランド代表(RWC2023) 10.ジョージ・フォード G 27 - 12
41分 イングランド代表(RWC2023) 13.ジョー・マーチャント T 32 - 12
41分 イングランド代表(RWC2023) 10.ジョージ・フォード G 34 - 12

<特記事項>
TMO後半16分:イングランド代表1番のノックオンの確認で、ノックオンではなかったためトライが認められた
イングランド代表選手交替はイングランド協会記録を参照


 前回大会、前々回大会に続いて新たな歴史(イングランド代表戦の初勝利)を創ることができるのか。過去10戦全敗のイングランド代表に勝つためには、スクラムを対等(少なくともPKを取られず)に組み、ハイボールの処理で負けないことが絶対条件になると言われてきている。

 イングランドのキックオフで試合開始。イングランドは勝負に徹し、チャンスと見るや展開を図るケースもあったが、概ね、特にセットプレーからは、これでもかというぐらいハイパントや地域を稼ぐキックで攻めてくる。日本イングランドフロント・スリー(SO、両CTB)を中心とするラッシュ・ディフェンスの裏をかきイングランド陣ゴール前、及びラインの裏へパントを上げる。そして序盤、イングランド日本のインゴールへ蹴り込んだボールをマシレワがノックオンしてしまう。やはりRWC本大会の緊張感は違うのか。日本のゴール前5mでのイングランドボールのスクラムで試合は再開するが、この日最大の課題とされるスクラムがこのような形で試されるとは。しかし日本関係者の心配をよそに、鍛え上げられた日本のスクラムは微動だにしない。スクラム・プッシュをあきらめボールを展開したイングランドに対し日本はダブルタックルなど好タックルで応酬。しかし最後はオフサイドの反則を取られ、4分イングランドSOフォードが難なくPGを決め先制(0-3)。イングランドがキックを使って日本陣に入ろうとするのは想定通り。そしてイングランドは自ら上げたハイパントをキャッチするのではなく、2人でジャンプして自陣側へタップして、それを味方が確保するというやり方を取ってきた。7分日本のFBマシレワは2回キックを蹴っただけで激しい接触はなかったが右太ももの激痛を訴え倒れる。リーチが駆け寄り 「早く立ち上がれ、皆で戦うぞ!」と激を飛ばすが、マシレワは立ち上がることができず早くもレメキと交替。その後、日本ボールのラインアウトから流がハイパントを上げたが、イングランドもハイパントで応酬。こぼれ球を日本が確保してSO松田がオープンへキック・パスを試み、これをナイカブラがキャッチして縦に突進。前に出たラックから流がイングランドゴールへ縦にキックを蹴る。これをFBスチュアートが蹴り返したが、キャッチしたレメキがカウンターアタックを仕掛け、パスを受けた松島が裏のスペースを見てイングランドゴール前右へゴロパントを蹴る。キャッチしたフォードから苦し紛れのパスを受けたデイリーに中村、堀江が二人でタックルしタッチへ押し出す。キックによる地域の取り合いはほぼ互角。13分日本陣左のハーフウェー・ライン付近のイングランドボールのラインアウト、得意のモールを組み22mラインまでジワジワ押し込んだが、日本は反則せずに堪え、イングランドが止むを得ず出したパスにミスが生じ、それを拾った長田が10mラインを超えてラックを形成。早い球出しから流、松田、中村、ナイカブラ、レメキとパスが渡り大幅にゲインし、更に連続攻撃を続け、イングランド陣22m内に入る。そして流から横のラブスカフニにボールを渡しゴール直前に迫る。オフサイド判定でレフリーが手を上げた後、流からパスを受けた松田が左隅で待つナイカブラに大きくキックパス。イングランドのWTBメイも待ち受ける中、キックが長すぎてタッチラインを割る。しかし先ほどのオフサイドで、15分今大会ゴール成功率100%の松田がPGを決める(3-3)。その後イングランド陣10mライン左のイングランドボールのスクラムで初めて日本はコラプシングのPKを取られる。実は下の芝生が剥がれてしまっており、それを確認した主審はPKを取り消しイングランドボールのスクラム・アゲインとなる。スクラムからのSOフォードのキックを松田がチャージし、ボールはイングランドゴール前へこぼれる。しかしそのバウンドがバックアップしたイングランド9番、8番側に弾み、9番のセービングでボールを確保してラックとなり、再び9番のタッチキックでピンチを逃れた。このタイミングでウォーター・ブレイクとなる。イングランド陣10mライン右の日本ボールラインアウトで再開し、松田へロングボールを投げ入れ確保してラック。そのボールを具、リーチ、姫野が運び連続でラックを作り、長田の突進でイングランドのオフサイドを誘いPKを得る。23分松田がPGを決め日本がリード(6-3)。その後キックオフでゴール前のラックから日本はタッチキックを蹴らずに松田が裏へショートパントを蹴る。しかしそれが長すぎFBスチュアートのカウンター攻撃で日本陣ゴール前5mタッチキックを出される。24分日本ボールのゴール前5mのラインアウトでキャッチャーのリーチにイトジェが絡み、こぼれ球をファカタヴァが確保できずイングランドボールのラックとなり最後は8番ラドラムにインゴールへ飛び込まれ逆転(フォードのGで6-10)。その後、イングランドの地域を稼ぐキッキングゲームに対して、日本もFBに入ったレメキを中心に堂々とキックで対抗。そしてキックの蹴り合いの中で、レメキの巧みなプレーにより、レイトチャージの反則をもらい32分、松田がPGを決め9-10と追いすがる。得点された後に必ず攻勢をかけてくるイングランドに対し日本も負けずにアタックを仕掛ける。38分日本陣22mライン右のイングランドボールのラインアウトからモールを押し込みモール・オフサイドのPKを得るが、イングランドはPGを狙わず、タッチキックを蹴りトライを狙いにくる。しかしモールではなく、後ろで横に走ったFWへのパスがノックオン。日本ボールスクラムでレメキが10mラインまで好タッチキックを蹴る。このまま前半を終了したいところであったが、イングランドはトライを狙い果敢に攻撃に出る。日本も良く守ったがロスタイムの42分、最後オフサイドによるPKをイングランドに与えてフォードが難なくPGを決めてイングランドの4点リードで前半終了(9-13)。

 後半開始時に日本は具に替えてヴァルを投入。日本のキックオフはレメキが中央22mラインに蹴り、ナイカブラが相手FBにタックル。イングランドがラックからFBを使えない状態にする作戦だ。イングランドSHのキックは日本陣右10mラインまで蹴ったが、松島がキャッチしてレメキへパスしハイパントで応戦。しかしイングランドはこのボールも確実に確保して左へ展開。シンクラーからフォードへ繋ぎ大外で待つWTBデイリーへパスが通り、ライン際を独走するが、日本の快足ロック ファカタヴァが追走して22mライン手前で見事にタックルし、タッチへ押し出す。その後両チームがキックの蹴り合う中、フォードが日本陣深くボールを蹴り込み、イングランドの連続攻撃が始まる。しかし22mライン上での姫野の会心のジャッカルでピンチを凌ぐ。48分、ハーフウェー・ライン左のスクラムからSO松田がアウトサイドCTB長田へ飛ばし、長田は顔をのぞかせたFBレメキを飛ばし、WTB松島へパス。松島は巧みにステップを踏み相手をかわして15mゲインするが、そのラックからのパスを姫野が落球。50分ここで稲垣、ナイカブラに替えてミラー、ライリーを投入し勝負に出る。流のハイパントをキャッチしたメイにライリーが好タックルし、イングランドに陣地を取らせない。イングランド陣10mライン左の日本ボールスクラムで流から長田にフラットなパスを通してゲインラインを超え、リーチ、コーネルセン、ライリーが連続で突破を図ると、イングランドはたまらずノット・ロールアウェイの反則。54分松田が4本目のPGを決めて12-13と再び1点差に迫る。しかしその後のキックオフからイングランドは案の定ギアを上げ攻勢に出てくる。そして日本ゴール前10m右のラックから左へ展開したイングランドに信じられないプレーが生れる。56分日本DFのプレッシャーを受け、イングランドの1st レシーバーがボールを斜め後ろに弾く。何とそのボールがイングランド1番マーラーの頭にあたって前へこぼれる。この流れの中、両軍ほとんどの選手がノックオンと判断し足を止めるが、イングランド主将のローズだけが足を止めず、このボールをキャッチしてゴールポスト直下へトライした(今のは頭だろう(ノックオンではない)とのアピールをしながら)。TMO判定の結果、イングランドにノックオンはなかったと判定されトライが宣告された(フォードのGで12-20)。張りつめていた日本の集中力にダメージを与えたことは間違いない。次のキックオフ後もイングランドの攻勢は続くが、58分イングランドFWがボールを繋ぎ、日本陣22m左へ迫ったところでラブスカフニがタックル。こぼれたボールを堀江がセービングして片手で松島へ浮かしパス。松島はイングランドSHをハンドオフで突き倒し、イングランドDFを次々とかわしハーフウェー・ラインを突破するが、イングランド陣10mライン左でタックルを浴びる。カウンターアタックだったこともあり、効果的なフォローにつける選手がいなかった。この後ラックを連取し右へ展開した日本はブラインドWTBの位置から回り込んだライリーが、ハーフウェー・ライン近辺でパスを受け、イングランドDFを切り裂き快走。22mラインを超えてタックルを受けるも、レメキにパスが渡りさらに前進してラック。しかしこのラックから出たボールを流はラックサイドに走り寄ったヴァルにパスをする。しかしヴァルが落球しチャンスは消える。ここでトライを返していれば試合の流れを呼び戻すチャンスだったのだが、イングランドの強力スクラムに耐えながらもここまでサポートしたヴァルを責めるわけにはいかない。強いて言えば松田、リーチが並ぶブラインドサイドを攻めるべきだったかもしれない。62分堀江、ファカタヴァに替えて坂手、ワーナーを投入。64分日本のゴール前のマイボールスクラムで、ボールがこぼれ流が片手で松田へパスを浮かしたが、松田がイングランドDF2人に捕まりキャリーバックとなりイングランドボールの5mスクラムとなる。この後、この日試合を動かしてきた流に替えて齋藤を投入。66分イングランドは日本陣右ゴール前のスクラム押し込んでPK獲得後、左へ展開したイングランドはSOフォードが日本のDFを考慮して効き足ではない左足で大外へパントを上げる。左サイドで待ち構えるFBスチュアートが楽々キャッチしてインゴールへ。日本FBレメキが追走してインゴールの外へ押し出そうとしたが、わずかに及ばずインゴールへダウン・ボールされる(フォードのGで12-27)。この後イングランドは試合をスローダウンさせるように見えたが、チャンスと見るやダイナミックに展開しスピードランナーを走らせてくる。日本のゴール前ではFWのパワーを全面に出してボールをインゴールへねじ込もうとする。日本FWも厳しいトレーニングで培ったフィジカルとメンタルの強さでこの猛攻を凌ぎまくる。74分とうとうイングランドが反則を犯し、日本はタッチキックでハーフウェー・ラインまで挽回し、ここでラブスカフニに替えて下川を投入。78分イングランドはハーフウェー・ライン右のマイボールスクラムを押し込みPKを獲得。81分再び日本ゴール前に迫りイングランドはFWの縦突進を繰り返す。日本FWも身を挺して2人掛かりでこの突進を止めきったのだが、最後はこのサイド攻撃をあきらめたイングランドが外側にボールを振り、13番マーチャントがインゴールへ飛び込みボーナスポイント(4トライ以上)を獲得した(フォードのGで12-34)。これでフルタイムとなるが、この日の日本イングランドの強力スクラムをガッチリ受け止め、ゴール前でのDFにおいても、練習量で培ったフィジカルと執念を発揮した。もう一つのセットプレーであるラインアウトを修正し、BKの効果的なアタックでスピードランナーを走らせ、次戦のサモア代表戦では何としても勝利をものにしてほしいものだ。