1 7人制ラグビーの発祥

 
 7人制ラグビー[以下セブンズとも表記]の歴史は古い。IRBが2001に出版した『WORLD IN UNION』[Unionには協会という意味と、リーグラグビー1)などと区別するユニオン・ラグビーという意味がある]のP90に下記のように記されている。
「Seven-a-side rugby, the best known abbreviated version of the game, was born in 1883 - ten years after the formation of the Scottish Union - in Melrose, a little town in the South of Scotland, an area known as Scottish Borders.(後略)」(『WORLD IN UNION』 Edited Chris Tbau, ⓒ 2001 IRB)
「競技を簡潔にしたことで知られる7人制ラグビーは、スコットランド協会が創立して10年後の1883年に、イングランドとの境界に近い南スコットランドの小さな町、メルローズで誕生した[筆者訳]」。
 スコットランドで誕生した7人制ラグビーは、シーズンの終了を前に大勢のプレーヤーが一堂に会して、ラグビーの名残を惜しむかのように大会が開かれていた。前後半が7分、1分[当時は2分]のハーフタイム、15分でゲームが終了するため、多くのチームがトーナメントでゲームをエンジョイすることが可能になる。大正15年(1926)には、イングランド南部のミドルセックスでも大会が開かれ、トゥイッケナムで現在も開催されている歴史ある大会に育っている(同上『WORLD IN UNION』P92)。
 世界の各地で、シーズン打ち上げの行事として行われてきたセブンズは、昭和51年(1976)に始まった香港協会主催の環太平洋7人制大会の成功で、逐次ワールドワイドな大会に発展した。平成5年(1993)には、スコットランド・エジンバラを舞台に第1回のワールドカップセブンズが開催された。その後IRBがオリンピック種目に7人制ラグビーの導入を目指して、本格的な活動を始めた平成10年(1998)度以降は、IRBがワールドカップ出場のために、年間10回にもおよセブンズ・ワールドシリーズでの成績をポイント制にしたため、スケジュールが過密になってきた。
 各国は15人制の片手間に7人制を競技することの限界を悟り、いまや7人制を独立競技として捉え、本格的な強化に取り組んでいる。
 平成21年(2009)10月10日、コペンハーゲンIOC(国際オリンピック委員会)総会で、2016年のリオデジャネイロ・オリンピックの正式種目として7人制ラグビーの採用が決定した。
 日本協会も7人制ラグビーの普及と強化に全力を挙げているが、まだ世界への道は遠い。ラグビーファンの皆さんにも、この機会にぜひ7人制ラグビーに関心を深め、強化・育成を応援していただきたい。
1) 13人制のラグビー。豪州と北イングランドを中心に行われている。