解題・説明
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木喰上人(1718~1810)は、55歳のとき日本廻国の大願を発し、文化7年93歳で示寂する30余年の間に千体以上の造仏を行っている。越後には2回来訪があり、特に2度目(享和2年~文化2年)の来越時に多くの、しかもすぐれた作品を残している。この十王堂仏はその代表作の一つといっていいだろう。十王は亡者の生前の行いを裁き、六道(天・人間・修羅・餓鬼・畜生・地獄)のうちどこへ転生させるかを決める冥界の裁判官。一見恐ろしい表情に思えるが、閻魔王の口許には笑みが浮かび、木喰仏らしい親しみある彫像と言える。
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