解題・説明
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谷根(たんね)の慈眼寺(真言宗)は、上杉景勝(1555~1623)が帰依(きえ)したという。正保2年(1645)の火災後に現在地に移り堂宇を建立した。ここの寺宝の十二天絵像の12幅は、明治17年(1884)真言宗豊山派長谷寺の大僧正守野秀善から贈られたもので、かつては大阪四天王寺の什宝(じゅうほう)であったという。画幅の下隅に「天王寺」の文字をかすかながら確かめることができる。肉線によどみのない墨線を用い、衣褶線(きぬずれせん)は蘭葉描風(らんようびょうふう)な運筆で、リズム感のあふれる着彩とともに、鎌倉初期の仏画を思わせるものがある。画風は京都神護寺の十二天絵像との共通性が大きい。
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