解題・説明
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新潟県の特に上越・中越地域で、昭和30年代まで盛んにみられた貸鍬(かしぐわ)と呼ばれる習俗に関する用具類をとりまとめたものである。 貸鍬とは、鍛冶屋が農繁期に農家へ鍬を貸し出し、農閑期に農家から貸付料を米で徴収し、必要があれば鍬を修理して、翌春再び鍬を貸し出す習俗をいう。この収集は、賃借される鍬、鍬を修理したり新しい鍬を製作したりする用具、米を徴収する用具、鍛冶屋が農家とのやり取りを記載した帳面類からなる。 鍬には、貸鍬特有の製作年や鍛冶屋の名が刻印されたものが多く、製作年や製作者を知ることができるほか、形状の違いから地形や土質に応じた利用の実態をうかがうことができる。 また、帳面類からは、鍛冶屋の貸出範囲やその変遷を知ることができる。【『柏崎市の文化財』2012年】
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