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解題・説明
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本絵図は、鷲宮神社境内を俯瞰的に描いた木版の刷物で、参詣者などに配布する目的で作成されたものと推定される。「鷲宮神社小景」と題し、蓮潭巻立弁が原図を作成し、東京神田鍛冶町の江川八左衛門が版木を作成した。編輯出版人は鷲宮神社祠掌の宮内信徳で、明治21年(1888)11月28日に出版の届け出がなされた。県社鷲宮神社社務所の蔵版であった。 本絵図からは、当時の鷲宮神社境内の様子が具体的に窺える。絵図に描かれた建造物は、①本社群として、本社、別宮神崎社、拝殿、神楽殿、②末社群として名称の記載はないが、神明社、香取社(若宮・八幡宮を合祀?)、妃川社、鹿嶋社、素戔嗚社、久伊豆社、③その他として、社務所、手洗、御井戸、茶店、みたらせ(池)、御神木、神輿庫、銅灯籠、寛保治水碑などが確認される。特に②の久伊豆社は、絵図ではこれが初見であり、注目される。 なお、原図を描いた巻立弁は本名を酒巻北治郎といい、花崎村(現加須市)の名主を勤めた人物である。江戸で谷文晁の門下生だった父立兆から絵を習い、家業に専念しながらも求めに応じて絵を描いたといわれる。加須市内に作品が若干残る。明治30年(1897)に71歳で没した(『加須市史別編人物誌』加須市、1984参照)。
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