解題・説明
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⑥六角筒形をしたのがM69焼夷弾で、中にナパームというドロドロの油が詰まっていて、これが地上で炸裂して火のついた油をまき散らした。このM69が十六本ずつ三段詰めにされた太い集束焼夷弾が地上三百メートル上空でバーンと開くと、四十八発がバラバラに拡散して落下する仕組みになっていた。その際、筒の尾部につけた麻のリボンに火がついて、尾翼の役目をしながら火の雨となって恐怖心をあおった。通常、B29一機が集束焼夷弾を八十発積んだというから、M69焼夷弾(長さ五十センチ、重さ二・七キロ)を三千八百四十発搭載した勘定で、これが百六十機となると、実に六万千四百四十発という膨大な量になる。当時の証言で、偕楽園好文亭の前庭一帯には前後左右に一メートル間隔で焼夷弾が突きささっていたという。
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